産業向けIoTで米GDPは2.3%押し上げ--日本は1.8%:アクセンチュア調査 - (page 2)

山田竜司 (編集部)

2015-01-23 16:59

IIoTのための環境整備が遅れている国

 Accentureが主要20カ国の経済を分析した結果、多くの国でIIoTの活用を迅速に進めるための環境整備が不十分と説明している。IIoTの活用で先進的な国は、米国やスイス、北欧諸国、オランダだった。スペインとイタリアは、ロシア、インド、ブラジルと並び、環境整備が最も不十分とした。不十分となる要素には、新技術の活用に必要なインフラやスキル、制度基盤が限られていることなどが含まれる。分析結果に対し、政府がIIoTへの投資を促進し、IIoTの活用を拡大できる環境づくりに向けて改善点を明確にできるよう、企業は支援する必要があると提言している。

将来の労働者には好影響

 調査によれば、「IIoTにより雇用が創造される」と考える経営幹部は87%に上るという。Accentureと世界経済フォーラムによる共同調査では、デジタル技術により既存のスキルが向上し、労働者の業務内容を高度化させるため、将来的に好影響をもたらすと予測している。例えば、掘削機器の操縦者は、エンジニアやデータ分析者と協力して操作の正確性と生産性を向上させることによって、掘削機器を遠隔操作できるようになるという。

 Accentureは、IIoTの活用を促すために企業が着目すべき以下の3つが重要になってくると提言した。

業界モデルの再考:企業は組織や提携関係、業務について再設計する必 要がある。例えば、農薬メーカーならば、ソフトウェアベンダーや気象データ提供企業、衛星運営企業と協力し、特定の地域や条件下の作物の収量を増加させるといった取り組みが求められる。製造業者ならば、3Dプリントなどの技術で顧客に近いところで製造できるため、業務を分散させる必要が生じる

データ価値の活用:企業間で信頼できるデータの共有を実現するために、相互運用性とセキュリティ標準の確立が必要。回数ごとの課金制度の導入やその他サービスベースでの提供に対応する、新たな財務モデルも必要になる

新しい働き方への対応:データへのアクセス増加に伴い、現場労働者の意思決定を支援するための分散型の作業環境が必要。労働者と提携企業の担当者とのより創造的な協働を可能にするため、新たな組織構造が求められる


IIoTを実現する要因の国別ランキング(指数)Accenture独自の指標で分析

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