NECは2月16日、NECグループ全社の開発プロセス改革に取り組むとともに、そのIT基盤として設計図面、仕様書、部品表などの製品技術情報を一元管理する統合PDM(Product Data Management)システムを構築すると発表した。グループ全社での設計資産の効率的な活用や、開発、生産領域において、グローバルでの変化対応力を強化するとしている。
これまでNECでは、ハードウェア製品の開発プロセスルール(コード体系、部品表構造、設計変更など)とPDMシステムをビジネスユニットごとに構築、運用していた。今回、これらをグループ全社で標準化し、設計図面、仕様書、部品表などの製品技術情報を一元管理する統合PDMシステムを構築する。
同社では、社会ソリューション事業を軸とした成長戦略を加速すべく、グローバルでの製品競争力強化や収益体質改善を支えるグローバルSCMの強化を推進しており、同システムはこうした取り組みの一環となる。
新たに構築されるPDMシステムには、同社のPLMソフト「Obbligato III」を利用。テレコムキャリアビジネスユニット向けに1月から稼働を開始し、2016年度末までにグループ全体に導入する。
また、同システムで管理する設計部品表を工場ごとの生産部品表に変換、蓄積する設計、製造インターフェース機能や、部品メーカーやEMSなどの取引先と安全にデータを共有する外部ポータル機能を導入する。システムはグループ社員約1万7000人が利用し、管理する部品は約2400万品目、設計図面や仕様書は約1800万件と、NECによれば国内最大規模のPDMシステムになるという。
NECグループにおける「ITを活用した開発プロセス改革」(NEC提供)
NECは、これらのシステムよって、設計資産の共有や部門横断での製品開発の迅速化などグループ全社での設計資産の効率的な活用を実現し、グローバルでの製品競争力強化を図る。
また、複数の工場で同一製品の生産を可能とし、市場状況に応じて臨機応変に生産工場を選択するグローバルな最適生産への対応やBCP対応の強化など、開発・生産領域におけるグローバルでの変動対応力の強化を実現。さらに、PDMシステムの運用コストの大幅削減を実現する。
また今後、同システムをはじめNECが進めるグローバルSCM強化に向けた各種システム構築実績、ノウハウについてもモデル化して提供することで、顧客企業の生産現場の効率化や業務標準化、グローバル対応などに貢献していくとしている。