Linuxは両親と暮らすモテない人々が自宅の地下室で書いているもの、と思っている人がこの地球上にまだいるのだとすれば、Linux Foundationの最新報告書「Linux Kernel Development: How Fast It is Going, Who is Doing It, What They Are Doing and Who is Sponsoring It」は、そうした思い込みを払拭してくれるはずだ。
確かに、2013年9月以降に行われたLinuxカーネル開発の19.4%は、個人開発者によるもののようだが、残りは全て、企業や組織のプログラマーによって作成されている。最も多いのはIntel社員で、Linuxコードの10.5%は彼らの業績だ。2位以下は、Red Hat(8.4%)、Linaro(5.6%)、サムスン(4.4%)、IBM(3.2%)、SUSE(3%)と続く。要するに、Linux Foundationの報告書が指摘している通り、「全カーネル開発の80%以上が、仕事に対して報酬を得ている開発者によって行われていることが実証された」のである。
この報告書は、Linuxカーネル3.18までに行われた開発作業を対象としており、特に3.11から3.18までのリリースに焦点を当てている。コントリビューターについて詳しく見ると、x86のLinuxが今でもLinuxカーネル開発コミュニティーの中心であることは明らかだ。また、Linaroとサムスンの存在は、それぞれ「ARM」と「Android」に相応の開発時間が割かれていることも示している。
全体では、前回の報告書以来、200社の4000人以上に上る開発者がカーネルに貢献してきた。カーネル開発者の半分が、初めて貢献している。その数は多く思えるかもしれないし、実際に多いのだが、Linux Foundationは、「依然として、作業の大半を行っているのは比較的少数の開発者で、どの開発サイクルでも、参加する開発者の約3分の1は、パッチ1件のみに貢献している」ことを指摘している。カーネル2.6.11リリース以降では、上位10人の開発者が3万6664件の修正に貢献してきた。これは全体の8.2%に相当する。上位30人の開発者は全コードの17%強に貢献している。
さらに印象的なのが、Linuxカーネルコミュニティーでは、1時間あたり平均7.71件のパッチというペースでパッチのマージを行ってきたことだ。1日あたりの数ではない。1時間あたりだ。リリースあたりの平均所要開発日数は、2014年には70日から66日へと短縮されている。