トレンドマイクロは2月25日、日本と海外の脅威動向を分析した「2014年間セキュリティラウンドアップ:企業経営を脅かすサイバー攻撃の横行」を公開した。2014年は正規ソフトウェアのアップデート機能を悪用したサイバー攻撃による被害が国内で初めて報告されている。
企業のウェブサイトの改ざんやネット広告を配信するサービスが悪用され、さまざまなウェブサイト上に不正な広告が表示される事例も多発していると指摘している。「信頼性」を悪用する攻撃は増加し続けており、オンラインバンキングの不正取引を狙うマルウェアの感染やフィシング詐欺サイトへ誘導される事例が確認されている。
こうした被害は、結果的に企業のブランドイメージの低下を招き、事業活動の継続が危ぶまれる可能性がある。トレンドマイクロでは、企業側が自社のウェブサイトで利用する外部サービス、システムの提供元でどのようなセキュリティ対策を実施しているかを確認する必要があると注意を促している。
また同報告書では、販売時点情報管理(POS)システムを狙ったマルウェアの検出数が増加していることも指摘し、2014年は「POS脅威元年」と表現。全世界での検出台数は対前年比約22倍になっており、自社の情報資産を棚卸しして、自社システムの平時の状態を把握した上で被害を最小化するための対策を検討を実施すべきだとしている。
甚大な二次被害が確認されているセキュリティ事故の2014年の事例(トレンドマイクロ提供)
(トレンドマイクロ提供)
2014年は多くの企業のサーバに影響するオープンソースソフトウェア(OSS)の深刻な脆弱性が多数確認されている。OpenSSLの脆弱性「Heartbleed」、Linuxなどで使用されるBashの脆弱性「Shellshock」などを挙げ、企業側は今後、MicrosoftやAdobeといった自社で使用している著名企業のソフトウェアに加えて、自社で使用しているオープンソースソフトウェアの脆弱性管理についても対策を検討すべきだとしている。