多くの企業が先を争うようにクラウドを導入している今日だが、通信事業者はインフラストラクチャのクラウド移行に極めて慎重だ。膨大な数の顧客の通話とデータ通信を支えるネットワークに問題が発生したときの影響の大きさを考えれば、通信事業者がクラウド導入に二の足を踏むのは十分に理解できる。そうした中、Juniper NetworksとCanonicalは、通信事業者が求める厳しい要件を満たすOpenStackクラウドソリューションの実現に向けて提携することを発表した。
このソリューションでは、「Ubuntu」と「OpenStack」が、JuniperのオープンソースSDN(Software-Defined Networking)ソフトウェア「Contrail」と連携して動作し、中核的なネットワーク機能を仮想化することで、通信事業者のインフラストラクチャを高速化および自動化し、エンドユーザーのデータ帯域に対する需要の激増に対応する。CanonicalとJuniperは、両社のクラウド、SDN、NFV(Network Functions Virtualization)技術によって、通信事業者の要求に応えることのできる、オープンかつスケーラブルで費用対効果の高いソリューションを実現できると考えている。
SDN市場におけるJuniperの競合であるOpen Daylightが示すように、SDNを正しく構築して動作させるのは至難の業だ。しかしOpenStackは強力かつ柔軟なうえに、OpenStack Foundationが各国で実施した最新の調査によると、UbuntuはOpenStackで最も広く利用されているOSである。さらに、Contrailの純粋なオープンソース版である「OpenContrail」には、デフォルトのプラットフォームとしてUbuntuとOpenStackを使用してきた実績がある。
JuniperのコーポレートVPであるAnkur Singla氏は、通信事業者の厳しい要件を満たすソリューションの提供に自信を見せている。また、独立系リサーチ企業451 ResearchのリサーチマネージャーであるJay Lyman氏は、NFV、高速化、自動化などOpenStackネットワークの中核となる要素は、大規模な企業やサービスプロバイダーが取り組むべき極めて重要な課題だとしたうえで、通信事業者が求める厳しい要件を満たすソリューションを提供するに際し、CanonicalとJuniperが共同で開発およびサポートを行う点と、両社がOpenStack Interoperability Lab(OIL)の参加企業である点は、大きな強みになるだろうと述べている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。