スマートデバイス活用では売り上げ増のシーン提示を--ノークリサーチ

NO BUDGET

2015-03-02 17:40

 ノークリサーチは3月2日、中堅・中小企業における業務アプリケーションのクラウド/スマートデバイス活動動向に関する分析結果を発表した。同社が刊行した複数のレポートをまとめたもの。

 下のグラフは年商500億円未満の中堅/中小企業を対象に、基幹系、情報系、顧客管理系、運用管理系の13種類におよぶ業務アプリケーション分野について、それぞれの「クラウド利用率(SaaS利用率)」を横軸、「スマートデバイス利用率」を縦軸としてプロットしたもの。大きく分けて以下の3つのカテゴリに分類できる。


・SaaSとスマートデバイスの利用率がともに高い「カテゴリ1」

 「グループウェア」「ワークフロー」「CRM」といったように以前からASP形態での導入が見られ、フィーチャーフォンからも利用できていた分野が含まれている。昨今ではオンラインストレージサービスの登場により、文書管理の分野もこのカテゴリに含まれるようになってきている点に留意する必要がある。

・SaaS利用率は低いがスマートデバイス利用率は比較的高い「カテゴリ2」

 SaaS利用率こそ低い値だが、中堅上位企業においては「ERPのIaaSへの移行」などのクラウド活用も見られる。また、「バックアップ」については、スマートデバイスにデータを残す手法と画面のみを表示させる手法のどちらが多くなるかによって、カテゴリ2とカテゴリ3のどちらに入るかが変わってくるものと予想される。

・SaaSおよびスマートデバイス利用率」がともに低い「カテゴリ3」

 「クラウド」と「スマートデバイス」のいずれも訴求が難しいように思えるが、工夫次第では新たなアプローチを展開できる可能性がある。

SaaS活用では業務アプリケーションの周辺分野にも注目

 カテゴリ2やカテゴリ3は「個別のカスタマイズやシステム連携が障壁となる」(主に基幹系)や「管理/運用における作業や担当を変えたくない」または「社外のサービスに委託することでのコストメリットが明確でない」(主に運用管理系)などといった理由によってSaaSへの移行が難しくなるケースも少なくないが、他のアプローチも考えられる。中でも注目されるのが「業務補完型サービス」だ。

 業務補完型サービスとは「業務アプリケーション本体は従来通りユーザー企業の社内で構築/運用し、それを補う形でSaaSを組み合わせる」といった形態のSaaSを指す。代表例としては“データ入力画面サービス”“ファイル転送サービス”“業務データ変換サービス”などがある。


 上のグラフは上記3つの代表例について、導入済みまたは導入予定のユーザー企業の割合を年商5億円未満の企業層を対象にプロットしたもの。低年商帯の企業層においても、こうした業務補完型サービスのニーズは高いことが分かる。

スマートデバイス活用では売り上げ向上のシーンを提示


 カテゴリ3においては「既存の操作画面をスマートデバイスに対応してもユーザー企業側が投資意向を示さない」という悩みを耳にすることが多い。

 しかし、スマートデバイス活用に取り組み済み/取り組み予定の年商100億円未満のユーザー企業に対して、スマートデバイス導入/検討に至った目的や背景を尋ねた結果を見ると、「オフィス以外の場所で業務をこなせる場面を増やしたい」(=既存の操作画面をスマートデバイス対応することで満たせるニーズ)も27.0%と高い値を示しているが、「スマートデバイスが普及しつつある状況をビジネスに生かしたい」は36.0%とさらに高い。

 つまり、ユーザー企業側は単なる利便性の改善だけでなく、売り上げ向上などのプラス効果を期待していることになる。


2014年版 中堅・中小ユーザ企業におけるスマートデバイス活用の実態と展望レポート

 例えば、アパレル小売店において「販売する服飾のカタログをタブレットに格納し、それを店員が顧客に見せる」という活用シーンを考えてみる。カタログをタブレットで見せるだけでは単なる「ペーパーレス化」で終わってしまう。だが、タブレットが備えるカメラ機能やタッチパネル機能を活用し、「顧客が持つ会員カードを読み取り、前回の購買履歴を踏まえた商品を表示する」「顧客がタッチした商品を記録しておき、次回以降の商品紹介などに役立てる」(ただし、事前のパーミッションは必要)などを行えば、クロスセル/アップセルの機会を生み出せる。

 このようにスマートデバイス活用の訴求においては業種ごとの業務シーンを踏まえた上で、売り上げ向上につながる活用シーンを提示することが不可欠といえる。

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