機械学習とIoTで世界のエレベータを安全に動かす

Nick Heath (TechRepublic) 翻訳校正: 村上雅章 野崎裕子

2015-03-16 06:15

 あなたもThyssenKruppが製造したエレベータに乗ったことがあるかもしれない。

 ドイツに拠点を置く同社は世界各地の110万基以上のエレベータをメンテナンスしており、ニューヨークのワン・ワールド・トレード・センターや、サウジアラビアのリヤドで1263フィート(約385m)という同国一の高さを誇るCMAタワーなどの象徴的なビルでエレベータを稼働させている。

 エレベータを稼働させ続けるというのはフルタイムの仕事であり、中国やインドのような新興国で毎年新しいビルが建設されるなか、その需要は高まっている。

 ThyssenKruppの米国戦略開発部門のディレクターであるRory Smith氏は「エレベータ事業はメンテナンスの仕事だ。エレベータの設置は一度きりだが、その後100年にわたってメンテナンス作業が続く」と語っている。

 「われわれの顧客は『故障したのは分かっています』などという言葉を聞きたいとは思っておらず、『壊れる前にわれわれが対応する』ことを期待している。彼らが重視しているのは、自らのエレベータに関する話など聞かなくても済むということだ」(Smith氏)

 エレベータ故障を完全になくすには数多くのデータが必要だ。このため、ThyssenKruppは日々生み出される膨大な数の生データに着目した。

 同社は2014年からMicrosoftと協力し、エレベータやエスカレータから送られてくるデータを「Microsoft Azure」クラウドプラットフォームにフィードし、「Azure Intelligent Systems Service」を用いてそれら情報を捕捉するとともに、「Azure Machine Learning」サービスを用いて意味のあるデータを導き出すという監視システムを構築しているところだ。


提供:ThyssenKrupp

 その目的は、故障する前に修理すべき部分を洗い出したうえで、現場に出かけた際にはどういった作業が必要かをエンジニアにアドバイスするシステムを開発するというものだ。

 ThyssenKruppは、概念実証版のシステムを使用し、50基未満のエレベータを対象としたテストを実施してきており、2015年には本格的なシステム運用を開始し、12カ月間で約60万基のエレベータやエスカレータを対象に加える計画だ。同社は最終的に、世界各地に設置されているエレベータの約60%をこのシステムで監視しようと考えている。

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