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再稼働迫るCERNの大型ハドロン衝突型加速器--陰で支えるIT技術 - (page 2)

Andrada Fiscutean (Special to ZDNet.com) 翻訳校正: 編集部

2015-03-19 06:00

 データセンターはLHCのピークレートにあわせ1秒当たり6Gバイトのデータを保存することができる。しかし、この巨大な装置は常時稼働するわけではない。IT部門を統括するFrédéric Hemmer氏は米ZDNetに対し、「LHCの2回目の稼働では、1年当たり約30ペタバイトを見込んでいる。それは、250年分のHD動画に相当する」と述べた。

 データは地下トンネルから地上にあるCERNのデータセンターに移動し、そこで磁気テープに保存される。それと同じデータが、世界中の170カ所以上を結ぶ分散型コンピューティングプラットフォーム「Worldwide LHC Computing Grid」にも転送される。それは、40カ国近くに分散配置された、複数層の仮想スーパーコンピュータのようなものだ。

 CERNによると、Gridは毎日、200万件以上のジョブを処理するという。単一のコンピュータを約1300年稼働させることに相当する仕事量だ。

コンピューティング能力

 奇跡の大部分はジュネーブで起こる。ここのデータセンターには4つの部屋がある。ITコンピューティング施設グループのリーダーを務めるWayne Salter氏は米ZDNetに対し、「1つ目の部屋の面積は約1400平方メートルで、2つ目は1200平方メートルだ。残りの2つの部屋は、200平方メートルを少し上回る広さである」と述べた。

 だがそれだけでは十分ではなかった。彼らには、ほかにもデータルームが必要だった。そして、最もコスト効率に優れたプロジェクトは、ハンガリーのブダペストからもたらされた。ウィグナーデータセンターが2012年に建設された。バックアップサイトではなく、ジュネーブのデータセンターを拡張するもので、新しいデータルームとして機能し、800平方メートル以上の面積を持つ。

 Salter氏によると、これら2つのデータセンターのコア数を合計すると、15万コアになるという。両サイトは、2本の100Gbpsの専用回線と冗長回線で結ばれている。

未来の商用テクノロジをテスト

 ITプロフェッショナルがCERNで使用するテクノロジには、まだ一般向けに提供されていないものもある。CERNは「CERN openlab」と呼ばれる官民のパートナーシップを通して、製品のテストを行う契約を複数の企業と結んでいる。

 そうしたコラボレーションのおかげで、CERNはテクノロジが市場に登場する何年も前の初期の段階から、アクセスすることができる。一方、企業は要求の厳しい環境で自社製品の動作を確認することができる。Hemmer氏は、「例えば、Intelとの提携を通して、われわれは『Nehalem』や『Westmere』『Sandy Bridge』『Ivy Bridge』『Haswell』といった初期の(CPU)テクノロジに触れることができた」と話す。

 CERN openlabのパートナーには、ほかにHuawei(ファーウェイ)やOracle、Siemensが含まれる。一方、RackspaceやSeagateはコントリビューター、Yandexはアソシエイトである。Hemmer氏は、「現在も継続中のファーウェイとのコラボレーションは、ストレージ分野でのものだ」と述べた。

データをテープに保存する理由

 最新のテクノロジとは対照的に、CERNが好んで使う古風なテクノロジが1つある。CERNは実験の未加工データを磁気テープに保存している。同媒体は1951年、コンピュータ情報をUNIVACデバイスに記録するために初めて使用された。

 ディスクとテープの戦いは今も続いているが、CERNではその勝者は明らかである。その理由はいくつかある、とPace氏は話す。1つはコストだ。テープはハードディスクよりわずかに低コストである。「磁気テープは電力を消費しないので、われわれはデータ保存のランニングコストをほとんど発生させずに、非常に大規模なストレージサイトを維持することができる」(同氏)

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