市民が災害情報を共有--富士通がジャカルタ防災局のシステムを構築

NO BUDGET

2015-03-24 07:00

 インドネシア共和国ジャカルタ特別州防災局では、市民間で災害情報を共有できる市民参加型災害情報共有システムを構築、3月に市民約1000万人に向けてスマートフォンアプリを提供し、運用を開始する。構築を手掛けた富士通が3月23日に発表した。


システムのイメージ

 ジャカルタ特別州では2002年、2007年、2012年、2013年にそれぞれ大規模な洪水が発生。多くの市民と地域経済が影響を受けており、このような災害対策を改善するため、2013年12月に、富士通による災害情報管理システムを導入している。

 しかし、市民が災害情報を入手する手段は、テレビ、ラジオ、ジャカルタ防災局のホームページに限られるという課題が残っていた。また、ジャカルタ防災局にとって水位センサなどを備えた高度な観測網整備の資金調達は難しく、収集できる情報量には限界があった。

 そこで独立行政法人 国際協力機構インドネシア事務所が、インドネシアで普及率の高いスマートフォンを活用した同システムの導入を支援することを決めた。富士通は、現地法人であるPT. Fujitsu Indonesia(富士通インドネシア)とともにJICAインドネシア事務所のプロジェクトを受託、システムを構築した。

 同システムの主な機能、効果は以下の通り。

市民による河川水位、雨量情報の収集と市民間での情報共有


スマートフォンアプリの画面

 市民は、ジャカルタ防災局から提供される本システムのスマートフォンアプリを自身のスマートフォンにインストールすることで、自分が見た河川の増水や洪水の状況を、簡単な操作で同システムに送信できる。注意、警戒、氾濫などの3段階で入力した河川水位や雨量情報、その場の写真、テキスト入力した感想などを送信でき、送信日時と送信地点のGPS情報も自動的に送信される。

 市民から寄せられた複数のレポートは、同システムを通じてジャカルタ特別州の地図上にプロットされる。市民はアプリでこの地図を参照でき、気になる地点の河川水位や家屋の浸水状況を、他の市民のレポートで確認できる。市民は、従来より早期に地域の状況を把握でき、適切な防災、減災活動が可能となる。

 また、同アプリを使って情報を提供する市民が増えるほど、多くの地点の洪水や浸水情報が得られ、効果的な防災、減災活動につながる。情報が蓄積されるとジャカルタ防災局の災害予測分析にも役立てられるほか、市民の自発的、自律的な防災、減災活動意識の向上も期待できる。

災害情報管理システムからの警報プッシュ型送信


スマートフォンアプリの画面

 同システムは、ジャカルタ防災局の既存の災害情報管理システムとも連携しており、ジャカルタ防災局が同災害情報管理システムから発信される洪水警報データを自動的に受信し、スマートフォンアプリをインストールしているスマートフォンに対しプッシュ型で通知する。この機能により、多くの市民が早期に警報などを知ることができ、適切な防災、減災対策になるとしている。

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