電子決済のインフラは共通化するのか
今後、決済のデジタル化は、どのような流れとなるのだろうか。Anderson氏は「いま、考えられるのはPOSで、決済にICチップが必ず使われるようになること、つまりEMVの世界的な普及だ。米国でも中国でも、そうなるだろう。5年ほどで、EMVでの支払いを、リモート決済に利用するようになり、多くのチャンスが生まれるとみている。現状では、対面での決済とネットでの決済との間には、使われ方、運用の仕方、どのような原則に則っているかなど乖離があるが、いずれは収れんしていくだろう。この先5年でも、かなりの部分で同じになってくるのでは。2020年に開催される東京五輪は個人的に是非、訪れたいと思っているが、そのときには東京の地下鉄も、iPhoneを使って決済ができるようにしたい」と語り、EMVによるインフラの共通化進展に期待をかける。
この領域で国内での動きが鈍くみえるのは、現状では、ITを用いた決済認証をするために、数多くの方式が統一性を欠いたまま、別々に動いているというような感もあるからだろう。
「15年前には、すべての決済について、共通のインフラがあってうまく機能していた。ところがその後、2つの大きな変化があった。まず、チップのような新しい技術が台頭してきたことだ。もう一つは、インターネットの進化で、決済も変貌し、数十のソリューションが乱立して、それぞれ分断されている。現在は、それらのようないわば断片が、1つになり始めようとしている最初の時期なのではないか。適切なインフラがあれば、NFCであれ2万マイル離れた、地点間でのリモートでのインターネット決済も(単一の手法で)可能になる。EMV、リモートEMVで実現できる。だから、さまざまな方式が今後もどんどん増えるのにはストップかかる。消費者にも、加盟店にもわかりやすいものになっていくと予想している。彼らが求めるのは、シンプルで安全だということだ」と強調、これらが両立できる技術が強力になっていくとの見通しを示した。