Adobe Systemsは米国時間4月29日、同社の2大クラウド事業である「Adobe Marketing Cloud」と「Adobe Creative Cloud」の強化を目的とした一連のイニシアティブを開始した。
Adobeはマーケティング分野でMicrosoftと提携し、両社と取引のある顧客に対して、データを容易に共有できる機能を提供すると発表した。
今回の提携により、Microsoftの顧客関係管理(CRM)ツール「Microsoft Dynamics CRM」とAdobeのマーケティングソフトウェアの緊密な連携が実現する。その結果、オーディエンスや彼らの行動を密接に統合することで、販売/サービスコールの指示や、販売機会の洗い出し、リードスコアリング情報の通知を支援できるようになる。
こういった統合が両社にとって戦略的な価値をもたらすのは間違いない。これにより、両社は自らの主戦場以外の分野におけるソフトウェアやサービスの売り上げ向上を期待できるためだ。また、マーケティングやアナリティクス関連の製品を武器に、CRMという分野の垣根を越えようとしているSalesforce.comといった企業に対する競争力を強化できるようにもなるはずだ。
データ共有関連については他にも、Adobe Marketing Cloudのアップデートによって、ビッグデータとクリエイティブなコンテンツの結びつきをより緊密なものにするという発表もなされた。さらに、「Adobe Experience Manager」(AEM)の新たなアセットマネジメント機能によって、企業における企画の立案からマーケティングに至るまでのワークフローに携わるすべての人々が同じアセットにアクセスできるようになる。
さらに、Adobeが言うところの「共有アセットマネジメントファウンデーション」の一翼を担う「Adobe Creative Cloudエンタープライズ版」の新たなバージョンのリリースも予定されている。このバージョンではAdobe Marketing Cloudが使用しているものと同じAEMアセットが活用できるようになる。あと数カ月ほどで利用可能になる予定だ。
また、AEMでは中規模企業と、大企業の部門向けのマネージドサービスが利用可能になる。SaaSとして提供されるこのサービスによって企業は、マーケティングチャネルを横断するリッチな画像や動画を含む、Creative Cloudのアセットすべてを管理、調達できるようになる。
さらにAdobeは、広告アナリティクス企業Collectiveの広告テクノロジであるTumriを取得したことも発表した。Adobeはこのポートフォリオを活用し、同社のオーディエンスターゲティングツールである「Adobe Media Optimizer」のダイナミッククリエイティブ機能と運用型広告を強化する考えだ。
全体的に見ると、Adobeはデータ駆動型の接続性を追求し、鍵となる広告テクノロジを、Marketing CloudのコアサービスやCreative Cloudのアセット共有と結びつける動きに出たと言える。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。