リファレンスアーキテクチャは「攻め」の鍵
市場におけるテクノロジの進化は、企業の競争環境を大きく変えている。特に、デジタルマーケティング領域は、猛烈なスピードで新しいテクノロジが出ては消えを繰り返している。
従って情シスが「攻め」に転じるためには、この領域で押さえておくべきポイントを踏まえておく必要があろう。
マーケティングを専門とする筆者は、オムニチャネルだろうが、リターゲティング広告だろうが、顧客中心型のマーケティングを事業が志向するのであれば、「リファレンスアーキテクチャ」を持つことをまずはお勧めする。
リファレンスアーキテクチャ
これは、デジタルマーケティングにおけるリファレンスアーキテクチャの一例だ。リファレンスアーキテクチャを作りメンテナンスしていくことで、自分たちがどのレイヤでの議論を行うべきかを、以下のようにクリアにすることが可能になる。
- インプットデータとしての「顧客識別」はどのレベルで、どのアプリケーションで担うのか
- スループットとしての「顧客理解」は、どのレベルでどのアプリケーションでに担うのか
- アウトプットとしての「顧客とのコミュニケーション」はどのチャネルとメディアで担うのか
特にデータ活用の検討で論点となるのが、「リアルタイム性が求められるのかどうか」である。その場合も、実行環境側に保持しておかなければ使えないデータと、分析環境側に引っ込めておいて定期分析やアドホック分析に利用されるデータとに分けて考える。この発想を持つだけで、選択肢がより幅広になり、かつ現実的になる。
リファレンスアーキテクチャは顧客中心型のマーケティングを志向する上で、どこに強みを作るかを議論するベースとなるので、大いに活用されたい。
第3回では「攻めのデータ活用(前半)」として、競争力を生むデータ活用に向けたアプローチを、具体例を交えながら紐解く。- 田村浩二 株式会社シグマクシス デジタル・フォースグループ マネージャー
- 広告代理店、Web系ベンチャー、外資系IT会社を経て2014年5月にシグマクシスへ参画。顧客体験設計、コミュニケーション設計、データ活用設計、プロセス設計等、戦術的マーケティング領域の支援を一気通貫で行う強みを持つ。流通小売から保険、製造業まで、クライアントの課題解決のためのプロジェクト経験と実績を有する。米国ダイレクトマーケティング協会認定マーケティングプロフェッショナル。