IDC Japanは6月4日、国内データセンター(DC)ファシリティ市場予測を発表した。DC建物、電気設備、空調設備の2014年国内市場規模は前年比成長率12.6%の2764億円で、内訳は新設、増設市場が2263億円、保守/更新市場が478億円となった。今後はファシリティ保守、更新市場が堅調に拡大する見込みとしている。
(IDC提供)
DCファシリティ市場は、DC建物、電気設備、空調設備などの新設、増設、保守、更新にかかる投資額と支出額によって構成される市場。2014年の国内DCファシリティ市場は前年比成長率12.6%の2764億円で、このうちファシリティ新設、増設市場が2263億円、ファシリティ保守、更新市場が478億円、ファシリティコンサルティング市場が23億円となった。
新設、増設市場は増減のサイクルを繰り返す特性を持っているため、2015年に市場規模が縮小するものの、2016年には再び成長率がプラスに転じる見込みだという。ただし、国内での建築価格上昇の影響により、2019年には再び成長率は大きく低下すると見ている。
一方、ファシリティ保守、更新市場は2014年から2019年まで堅調に拡大し、この間の年間平均成長率は10.5%で推移すると予測している。1990年前後に建設された「インテリジェントビル」と呼ぶオフィスビルが、今もDCの建物として使われているケースが多く、これらのDCでは今後築25年目を迎えるところが増え、ファシリティの改修や更新需要が拡大するというのが主な理由だ。
なお、今回の調査対象には、クラウド事業者などのITベンダーのデータセンター(事業者DC)と、金融機関、官公庁、製造業などの一般企業のデータセンター(企業内DC)の両方が含まれている。
このうち、事業者DCではファシリティ保守、更新市場の2014年~2019年の年間平均成長率が13.4%となるのに対し、企業内DCのファシリティ保守、更新市場では5.0%となる見込みとなっている。
これは、事業者DCではDCファシリティの市場競争力を強化するためにファシリティ性能と効率化のための投資が継続するのに対して、企業内DCではクラウドサービスやITアウトソーシングなどのサービス利用によって、DCファシリティの規模が縮小する傾向にあるためだ。
国内では今後多くのDCで一斉に大改修の時期を迎えることになる一方、建築コスト上昇や電力コスト上昇など、DCファシリティを取り巻く環境も変化するものとみられている。同社ITサービス リサーチマネージャーの伊藤未明氏は、「大改修のタイミングで、IT戦略からファシリティ運用管理までを含めた、DCの全体的な戦略見直しのニーズが拡大する」とコメントしている。