Burberryは顧客の行動をリアルタイム予測
事例として挙げるのがBurberryだ。同社では、顧客が店に入ってきた際に、会員顧客が持つモバイルデバイスを検出。これまでにどんな製品を購入しているのか、どんなサービスを受けているのかといった履歴を検索し、高度な分析を通じて、次にどんな製品を購入しそうなのか、あるいはどんなものに興味を持ちそうなのかといったことをリアルタイムで予測し、最適な接客ができるようにするという。
「古いデータベースシステムでは、過去の購入履歴は閲覧できるが、在庫システムと連動させて最適な製品を勧めたり、個別の顧客に対して、パーソナライズ化した体験を提供したりといったことまではできない。データを収集して、格納するだけでなく、リアルタイムで処理し、分析できるのがHANAの特徴であり、リアルタイムの顧客体験は、他社のプラットフォームでは実現できない。だからこそ、BurberryはHANAを使っている」(Young氏)

また、ソウル国立大学病院では、10年間にわたる臨床データを活用。テキストベースの情報などの非構造化された患者のデータや、実験データなどの構造化データを組み合わせ、リアルタイムで分析できるという。その結果、以前抗生物質の投与は全体の6%の患者に実施されていたが、1.2%にまで引き下げられたという。
「投薬量が減ることで経費を下げられ、薬剤耐性の課題についても解決できる。従来のデータベースシステムではできなかったこと」だとする。
3つめには、それらの仕組みを活用することで、将来を予測する先見的な分析が可能になる点だ。
「HANAは、単なるデータベースではなく、プラットフォームと呼べるもの。だからこそ、将来を予見し、未来をシミュレーションできる。いままで解決できなかったものまで解決できるようになる」と、ヤング グローバルバイスプレジデントは語る。
オランダでの具体例を挙げる。ガスのパイプラインのすべて情報をデータベースにまとめているが、これに地理情報を加え、学校や図書館などの公共施設や、スタジムや展示会場などの人が集まりそうな場所などを認識。パイプの老朽化によるトラブルや、災害が発生した場合に、深刻な被害が出そうな場所を事前に予測することができ、対策を講じることが可能だという。しかも、それをわずか3.8秒で予測したという。