SAPは米国時間2月3日、主力製品の「SAP Business Suite」の最新版を発表した。新しいユーザーインターフェース、モバイル、インメモリ分析「HANA」などの特徴を持つ。
SAPにとって最新の「Business Suite 4 SAP HANA(SAP S/4HANA)」は、イノベーションパートナー、そしてモダンな体験をもたらすことができる業務ソフトウェアベンダーの位置付けを目指す製品。SAPはS/4HANAで、既存顧客を維持しつつ、コアのバックエンドシステムと接続できる次世代のアプリのあるクラウド環境への移行を促す狙いだ。
SAPの最高経営責任者(CEO)Bill McDermott氏。
ニューヨーク証券取引所で開いたイベントで、SAPの最高経営責任者(CEO)であるBill McDermott氏は、SAP S/4HANAは「デジタル時代向けに再構築した」エンタープライズプラットフォームだと述べた。McDermott氏は同製品を、顧客の成長を加速する「イノベーションプラットフォーム」と呼ぶ。また、シンプルな実装モデルへの道筋になるとも述べた。
「過去23年、おそらくこれまでのSAPでも最大の製品ローンチだ」とMcDermott氏は言う。
SAPは、ユニークな機能を見せることでBusiness Suite/HANAに移行するよう顧客を説得できると考えている。このような移行は通常ロックインを伴うものだが、移行により得られるイノベーションはそれを上回るとSAPは主張する。Business Suiteは引き続きOracleデータベースをサポートするが、HANAアーキテクチャは大きなメリットをもたらすというのがSAPのメッセージだ。Business Suiteは、HANAアーキテクチャ向けとその他(主としてOracle)のデータベース向けの2種類のコードベースを持つ。
最初に登場するのは「Simple Finance」で、その他の業界向けとモジュールはその後登場する。ローンチ時にすべての業界が揃うわわけではない。
McDermott氏は2020年に向けた見通しを掲げており、ここで大きな部分を占めるのがHANAの受け入れだ。SAP S/4HANAのインメモリデータベースとリアルタイム分析はHANAのみで動く。目標は「過去の制限をすべて取り払う」だ。
SAP S/4HANAのローンチは、クラウド、モバイル、モノのインターネット(IoT)、ビックデータなど、テクノロジー界の流行語をすべて網羅するものとなった。データモデルの簡素化により、Business Suiteを新しいビジネスモデルにつなげることができる、とSAPは述べる。Accenture、Capgemini、Deloitte、Ernst & Young、PwCなどのパートナー企業は迅速に実装できるとも述べている。