コンテスト募集の翌日にはハイレベルなサンプルプログラムが
topcoderには、プロジェクトを細かく区切ってコンテスト形式で発注された。ログイン、画像投稿などのプロセスごとにサンプルプログラムを募集した。通常、期限を設けて募集するが、今回は完成度の高いものが応募されるとすぐに募集を締め切るという方法が用いられた。
募集に際しては、最終的な成果物については簡単な紹介しかされていない。Rubyを使ってHerokuのアドオンを利用できるサンプルプログラム、という条件で募集された。
各プロセスのパーツが出来上がった段階で、パーツを1つのプログラムにまとめる作業についても、コンテストによって募集し、RubyのAjax機能を活用したプログラムが1日~2日で完成した。
「各プロセスごとのサンプルプログラムを構築する際も、それらをまとめる際にも、Rubyに精通した欧州やアジアのtopcoderメンバーが応募してきてくれました。夜topcoderにコンテストを設定すると翌日には、5つか10の応募があり、その中から正確に動作するだけでなく、プログラムとして優れているものを選んでいきました。各プロセスをまとめる案件については、若干、応募者とのやり取りが発生しましたが、それも大きな手戻りが発生するものではなく、1日で終了しました」(岩崎氏)
3月半ばにプロトタイプを検証したときの驚きを樋口氏は話してくれた。
「正直、ここまで完成度の高いものが出てくるとは思っていませんでした。若干の手戻りは覚悟していましたが、そういったものはほとんど発生せず、社内の検証もスムーズに終了しました」
その後岩崎氏は、プロトタイプをHOME'SのAPIと連動させる作業と、アピリオのデザインチームと連携して最終成果物にする作業を行い、ネクストに納品した。
岩崎氏は次のように話す。
「RubyとHerokuのアドオンに精通したエンジニアを国内で急遽集めるといったことは、簡単なことではありません。今回のプロジェクトは、そういうことを実現しなければ、納期を守るのは難しかったと思います。当社が、topcoderを利用するという提案をしたのは、そういう理由があったからです。技術の検証を行いながら時間をかけて開発する必要のないプロフェッショナルが世界中から応募してきてくれ、われわれの狙いは当たりました」
今回のプロジェクトでは、開発プロセスを正しく切り分けて発注し、高い技術力を持ったエンジニアが並行して作業することで、スピードだけでなくクオリティの高い成果を挙げることができた事例だと言える。国内企業でのクラウドソーシングの活用については、まだ緒に就いたばかりという見方もあるが、今後、こうした具体的な成果が増えていくことで、新しい展開が生まれてくるだろう。