これが本当なら、Postgresの新規導入例は大きく増えることになる。しかし、調査対象の41%が、導入1年目に費用が50%以上削減されたと述べていることを考えれば、これも驚くことではないのかもしれない。ビッグデータアプリケーションでは、MongoDBやCassandra、あるいはその他のNoSQLデータベースが選択されることが多いと考えられるため、PostgresはOracleやIBMの「DB2」、あるいはその他の従来型のRDBMSの置き換えとしてシェアを開拓しつつあるということだろう。
しかし、これは本当だろうか?上に挙げたPostgresに関する数字は、少し大げさなように感じられる。例えば、一部の古くからのOracleユーザーは、Oracleとの価格交渉の材料としてPostgresへの切り替えを検討したが、実際には切り替えるつもりはなかったという話がある。Salesforce.comも似たようなことをしている。
損失は大きくなるばかり
それでも、何かが変わりつつあるのは明らかだ。
Oracleは、最新の決算が業績予想に届かなかった理由について、為替変動による業績悪化が原因だったとしている。しかし、それは多くの原因の中の1つにすぎない。実際、Oracleが最後に2期続けて業績予想を達成したのがいつだったかを思い出すのは難しい。この数年は、業績予想を達成するよりも、届かないことの方が多い。
Oracleはずっと、理由として営業の失敗や為替変動などを挙げてきた。
同社は言及したことがないが、Bloombergは業績悪化の原因としてオープンソースデータベースとの競争を挙げた。「(オープンソースデータベースの)影響は、Oracleの新規ソフトウェアライセンスの売上に現れており、この数字は前年同期比で7四半期連続で減少している」
Bloombergは、Oracleの新規ライセンス販売の低迷の理由は、スタートアップ企業がほぼ全面的にOracleを無視していることだと述べているが、これまでスタートアップ企業がOracleの利益に大きな影響を与えたことはない。より影響が大きいのは、その記事でも指摘しているとおり、Goldman Sachsなどの大手企業がOracleからオープンソースデータベースへと乗り換えつつあることだろう。Goldman Sachsの技術部門の共同責任者は、Businessweekに対して「当社のデータセンターに行けば、当社が使っているアプリケーションやミドルウェアで大量のオープンソースが使われているのが分かるはずだ」と語っている。
大企業が次に採用するデータベースにオープンソースを選ぶだけの理由は十分にある。しかも、Postgresに関する調査のデータを見る限りでは、どのオープンソースデータベースでもよいわけではないようだ。Postgresであれば、企業が新しいクエリ言語や、新しいデータ構造化手法を覚える必要はない。機能を犠牲にする必要もなく、Oracleと同程度かそれ以上のパフォーマンスが得られる。
その上、価格はゼロだ。
雇用統計は、Postgresがスタートアップ企業で人気を博していることを示している。しかし、その優れた性能と、機能的にOracleに似ていることを考えれば、エンタープライズ顧客の人気も上がって当然だ。EnterpriseDBの調査が示すほどのスピードではないかもしれないが、Oracleがかつて持っていた顧客のデータベース購入判断を支配する力を、Postgresがむしばみつつあることは明らかだ。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。