ソフトウェア企業と衝突しながらつくったSFAに手ごたえ--ジュピターテレコム - (page 2)

大西高弘 (NO BUDGET) 怒賀新也 (編集部)

2015-07-29 07:20

“エバンジェリスト”を募り新たな仕組み作りを模索

 一般に、SFAを定着させるには、営業の責任者が率先して入力の負担などを受け入れなければならない。営業責任者が先頭に立ち、システムによる営業改革を進めていけば、担当者全体が動き出す。しかし、なかなかそうはならない。

 営業責任者はシステムに支援してもらう必要性を感じていないことが多く、システムに頼らなくても、自分なりの手法を確立していることが多いからだ。そんな中で、営業の責任者から入力への不満が漏れ始めると、その影響力は大きく、管理側も無視できなくなる。

 幸い、J:COMでは、トップ営業がシステム利用を真っ先に離脱していくということではなかった。だが、髙田氏は、SFAシステムの活用をいったん中断した後の営業強化策を進める上で、強い影響力を持つ担当者をいかに巻き込んでいくかを意識したという。

 「とにかく各担当者に直接役立つ仕組みを作っていかないとダメなんですね。そして、仕組み作りに情熱を持って当たってくれる人を巻き込まないとうまくいかないということを感じました」(髙田氏)

 社内の熱血漢を巻き込んでいかなければならない、そうアドバイスしたのは、J:COMにソフトウェアを提供するドリーム・アーツのスタッフだった。新しい営業支援ツールの開発プロジェクトに外部メンバーとして参加していたのである。

 「ドリーム・アーツの担当者は、実際に営業スタッフと一緒に顧客先を周り、さまざまな指摘をしてくれました。そこで、営業スタッフごとのプレゼン方法のばらつきなども具体的につかめるようになっていったのです。われわれは、“エバンジェリスト”(伝道者)と呼ぶコアメンバーを募り、ドリーム・アーツと一緒になってタブレット端末を使ったプレゼンツールを作っていきました」

 エバンジェリストは、同社の関東、関西にそれぞれ数人いる。誰かに指名されたのではなく、自主的に参加を表明した人たちだ。自身の営業成績もハイレベルなメンバーである。2014年のことだった。

トップ営業とそうでない人の違いはどこにあるのか

 J:COMではもともと、紙で制作されたプレゼンツールがあった。しかし、トップ営業とそうでない人とでは、どうしてもプレゼンの仕方に差が出てしまう。

 「どこに差が出てくるかというと、ストーリー作りの面です。やはりトップクラスの人は、紙の資料でも上手に流れを作って、相手を引き込んで、ケーブルテレビ会社の事業内容や映像コンテンツの紹介をしていくわけです。この差を埋めるために、タブレット端末でリッチなコンテンツを見せながら、楽しさを伝え、ストーリーを立ててプレゼンしやすいツールを開発することにしました」

 端末で活用するプレゼンソフトは、ドリーム・アーツの営業支援ソリューション「YUKARi(ゆかり)」を採用した。髙田氏は次のように話す。

J:COMが採用した「YUKARi」の画面
J:COMが採用した「YUKARi」の画面

 「最初から決めていたわけではなく、何社かのプレゼンツールを比較、検討していました。しかし、YUKARiの機能である“ソリューションマップ”を見て、これだと納得しました」

 ソリューションマップ機能というのは、簡単に説明すると、カメラが左から右に自動的に移動するように、コンテンツを見せていく仕組みだ。動きのあるコンテンツを簡単に作成できる機能はまさに髙田氏やほかのスタッフが求めていたものだった。

 「ストーリーを上手に展開していけるツールがいいね、とエバンジェリストたちで話していました。紙芝居のように単純に画面を変えていくだけでなく、流れや動きのあるコンテンツを作りたかったのです」(髙田氏)

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