Alphabetの設立により、Googleを分解して持株会社構造に変換するという動きは、透明性の向上と、Larry Page氏とSergey Brin氏によるさまざまな実験的取り組みに対する適切な評価に向けた歓迎すべき一歩であると受け止められている。同時に、Alphabetはテクノロジ業界のBerkshire Hathaway(米国の巨大持株会社)になる可能性を秘めたものとしても見られているようだ。
少なくとも、アナリストらはそのような成果を期待している。
米国時間8月10日、Googleは持株会社Alphabetの子会社になる計画を発表した。Larry Page氏がAlphabetの最高経営責任者(CEO)、Sergey Brin氏がプレジデントに就任する。Googleは中核事業に集中し、Sundar Pichai氏をCEOに迎える。「Google Fiber」や自動運転車、ドローン配送といったさまざまな実験的取り組みは切り離され、将来的に各々の事業になる可能性もある。
アナリストの当初の反応は肯定的なものだったが、ウォッチャーの多くは、Alphabetが実際にどれだけの透明性を実現できるのかは現時点では不明だと指摘した。11日時点での各社アナリストのコメントは以下の通りだ。
Wells Fargoのアナリスト、Peter Stabler氏:
前向きに捉えてはいるが、今回の動きによって「中核的なGoogle」は経営指標をさらに公開する道を選ぶのだろうかという疑問が、すぐに提起されるだろう。特に、モバイル検索やYouTubeの成長率のほか、広告技術プラットフォーム「DoubleClick」などGoogleのディスプレイ広告製品の相対的な貢献度の影響について、投資家がよりよく理解できるような指標への関心が高まっている。簡潔に言うと、今回の動きは、高度な投資戦略に関する投資家の主要な質問には答えをもたらすかもしれない。しかし現時点では、中核的なGoogleについてさらに詳細な経営指標がすぐに提供されるのかどうか、手がかりは全く提示されていない。さらに、中核的なGoogleの資産を切り離すことは、支出の管理に一層積極的に取り組むことを意味するのかという疑問も、投資家は提起するだろう。
Stifelのアナリスト、Scott Devitt氏:
何年にもわたる株価上昇を求めてインターネット界のBerkshire Hathawayが登場し、Larry Page氏とSergey Brin氏はWarren Buffett氏とCharlie Munger氏になった、というのがわれわれの見立てだ。同社はこのところ投資家に対して、正に彼らが求めているものを提供してきた。強力な経営チームが規律正しく価値創出に注力し、複数の事業部門が適度に自立して事業を行ってきた。
JMP Securitiesのアナリスト、Ronald Josey氏:
経営構造が変わることにより、Alphabetは第4四半期より部門別の決算報告を開始する。それにより、Googleの中核事業である検索や広告、インターネット事業の経営状態と収益性が明らかになるとわれわれは考えている。これまでは、Googleの自動運転車や「Project Wing」といった、中核的でない営業資産、さらに健康分野への取り組み(CalicoやLife Sciences)を含むインターネットと直接関係のない事業への投資のために、中核事業の経営状態と収益性を正確に把握することが困難なことが多かった。新しい決算報告がどれだけ詳細なものになるのかはまだ不明だが、われわれは、同社が最低でも主要な営業部門ごとの売上高と収益性を報告し、全体的な透明性を高めてくれると予想している。
Cowenのアナリスト、John Blackledge氏:
GoogleはAlphabetの設立によって、今後インターネット事業を自主的に経営する新しいリーダーたち(Pichai氏など)にスポットライトを当てることになる。これにより、Page氏とBrin氏は、より長期的でスタートアップ志向の取り組み、そして、より大きな成長に注力できるようになる。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。