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釣りの極意は分散投資にあり--ビジネスの成長を支える人材ポートフォリオ

飯田哲夫 (電通国際情報サービス)

2015-09-29 07:30

釣りの極意

 釣りの極意は、資産運用と同じである。資産運用では、分散投資が重要だ。特定のアセットクラスや銘柄などに固執すれば、当たったら大儲けができるものの、安定的に成果を出し続けることは難しい。適切なアセットアロケーションのもとにポートフォリオを管理していくことが求められる。

 釣りにおいては、釣り方のポートフォリオ管理の巧拙が釣果に影響する。釣り人の最も陥りやすい罠は、過去の成功体験である。ある釣り方(餌、深さ、誘い方などの組み合わせ)で一たび目覚しい結果が出ると、以降その成功体験から逃れることができない。次回もその釣り方に固執し、全然釣れなくても釣り方を変えることができず、ひどい結果に終わることになる。

 一方で、どんなに状況が悪くても、一定の釣果を上げる人がいる。そうした釣り師は、状況に応じたさまざまな釣り方のポートフォリオを持っており、それをどんどんと試すのである。これが、運よく当たったときだけ爆釣する素人と常に安定的な成果を上げる釣り師の違いだ。

投資巧者は女性

 ところで、Bloombergの記事によれば、資産運用に長けているのは女性であるという。一般的な傾向として、男性は女性よりもリスク許容度が高く、リスクを取りたがる性質がある。

 それが、リスクに伴うリターンを計算した上でのことならば良いのであるが、往々にして自信過剰によるものであるらしい。女性はリスク許容度が低い分、投資先を分散し、安定的な運用を目指すという。結果、男性は取引の量は多いものの、女性にはパフォーマンスで適わないのだという。

 Bloombergの記事は、女性トレーダーが活躍する余地が大きいことを示唆して終わる。これは、女性トレーダーがより安定的なパフォーマンスを出すからということだが、運用会社の人材ポートフォリオという観点から見ても面白い。

 つまり、運用会社にしてみれば、リスク許容度の高い社員とそうでない社員が適切に組み合わさる方が安定的な成績を上げることができるだろう。同様に、あらゆるビジネスは、その戦略に合致した人材のポートフォリオを持つことで、安定的なパフォーマンスを発揮することができる。

ビジネスも人材ポートフォリオ

 ビジネスの安定的な成長を考えたときに、人材をポートフォリオとして見ることは重要だろう。資産運用のアナロジーで言えば、男性は過去の成功体験にこだわり、自信過剰だ。ゆえになかなか同じビジネスモデルから抜け出すことができない、あるいは一発勝負で過剰なリスクを取るかもしれない。

 そこに女性のマネジメントが加われば、ビジネスのポートフォリオがより安定的になる可能性がある。これをさらに敷衍すれば、国籍や年齢なども多様性を持たせることで、ビジネスを安定的に成長させることができるに違いない。

 ただし、人材を多様化させればマネジメントは面倒になる。きちんと課題を認識すれば、なにも人材の多様化に頼る必要もないのではないかという議論もあるだろう。

 しかし、釣りのアナロジーに戻れば、自分のスタイルを変えることは容易ではない。何度やっても過去の成功体験は両肩に重くのしかかり、どんなに釣れなくても、怖くて同じスタイルをまる一日貫いてしまうのだ。形式的なものではなく、本当の意味で多様性の価値を見出していくことが、これからのビジネスの成長には重要だ。

 ビジネスにおいては人材のポートフォリオを多様化することで安定的なパフォーマンスを上げることができそうだ。しかし、孤独な戦いである釣りにおいてその解決は難しそうである。

飯田哲夫(Tetsuo Iida)

電通国際情報サービスにてビジネス企画を担当。1992年、東京大学文学部仏文科卒業後、不確かな世界を求めてIT業界へ。金融機関向けのITソリューションの開発・企画を担当。その後ロンドン勤務を経て、マンチェスター・ビジネス・スクールにて経営学修士(MBA)を取得。知る人ぞ知る現代美術の老舗、美学校にも在籍していた。報われることのない釣り師。

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