HPの最高経営責任者(CEO)Meg Whitman氏を始めとする多くの人が、DellとEMCが製品やサービスに統合するにあたって、混乱が生じると予想している。中には、DellがVMwareを破滅させるとまで言う人もいる。筆者はDellがVMwareを破滅させるとは思わないし、Dellが自社の目的のために、VMwareの利益すべてをつぎ込むとも考えていない。また、DellがVMwareの親会社になったことで、Microsoftの「Hyper-V」に移行する人が多いとも思わない。筆者は、VMwareがこれまでと同じ独立した会社として、独自のリーダーシップの下に、今後も存続するという印象を強く持っている。
Meg Whitman氏は従業員宛のメッセージで、「第4に、この取り組みは2つの異なるプログラムとアプローチをまとめようとするものであり、販売チャネルには混乱が生じるだろう」と述べている。しかし、「混乱の中に勝機もあり」という言葉もある。
この買収計画でどのような混乱が起きるとしても、事業の継続性は損なわれないだろう。今うまくいっている業務のやり方を、わざわざ変更する必要はないのだ。VMwareは、まだ間違った判断をしていない。筆者は、VMware経営陣の過去の判断すべてに賛成するわけではないが、同社に財務的な問題があるわけでもない。同社は市場で最高の、もっとも厚く支持される仮想化製品を持っている。
Dellは成功しているVMwareのやり方を、あえて変えようとするだろうか?
端的に言えば、答えはノーだ。
EMC買収においては、VMwareはDellにとって副次的なボーナスにあたる。それも、同社が誇りに思うようなものだ。
EMCは、Dellと同じく巨大なエコシステムを構築してきた企業であり、1996年の創設以来、ストレージ、ストレージ管理、仮想化、サービス、セキュリティ、コンテンツ管理などの分野で、70社前後におよぶ企業を買収してきた。
Dellが持つハードウェア、ソフトウェア、サービスのラインアップは、IBMと同じ土俵で対抗できる水準まで成長している。また、顧客にとっては事業の継続性がもっとも重要な問題であるはずだ。筆者の知る限りでは、Dellは決して焼き畑農業式の会社でも、唐突に製品をすげ替えてしまうような会社でもない。
Whitman氏は、ほかにもこんな発言をしている。「第3に、2つの製品ラインを1つにまとめるには、相当な製品の合理化が必要となるが、このことは同社のビジネスにとって破壊的であり、顧客に混乱をもたらす。顧客は今使っている両社の製品が、18カ月後にサポートされているか分からない状態に陥る」