Dellの最高経営責任者(CEO)Michael Dell氏が、EMC買収後の自社の将来像について語ってくれた。同氏はその中で、重複する製品やサービスの取り扱いや、成長が続くクラウド市場への取り組みについても語ってくれた。

Dellの創業者兼CEOのMichael Dell氏
提供:Dell
Dellによると、670億ドルを投じるEMCの買収で、同社は「株式非公開で運営される、世界最大規模の統合技術企業」になるという。では、同社はその立場を今後どのように活用していこうとしているのだろうか?
創業者兼CEOであるDell氏によると、今回の買収によって同社は「将来のIT業界におけるリーダーとしての位置につく」ことになり、ソフトウェア定義データセンターやハイブリッドクラウド、モバイル、セキュリティを網羅する、エンタープライズテクノロジにおける「第3のプラットフォーム」に向けた事業を展開していくという。
Dell氏はロンドンで現地時間11月4日午前、合併を間近に控えた両社の未来について語るとともに、エンタープライズ向けのストレージ技術や仮想化技術に関するスペシャリストへの大規模投資が良い考えだという結論に至った理由を説明してくれた。
合併後の企業には、Dellのエンタープライズ向けサーバ製品とEMCのストレージ製品に加えて、EMC傘下のVCEのコンバージドインフラや、VMwareを通じて利用可能になる仮想化技術が結集する。Dell氏は、DellとEMCの製品を組み合わせ、「2兆ドル規模のIT市場における成長著しい、そして極めて魅力的な分野のリーダーになる」ことを望んでいるという。
同氏は、今回の買収によって、UberやAirbnbといったデジタルディスラプター(デジタル化時代の創造的破壊者)に後れまいとする企業に必要となるITアーキテクチャを提供できるようになると考えている。
Dell氏は「規模が重要だと確信している」と述べた。
「データセンター内でサイロを形作っていた境界線はあいまいになってきている。ソフトウェア定義データセンターが現実的な選択肢となってきており、当社は買収によりそういった市場において極めて強固な位置に付けるようになる」(Dell氏)
長い歴史を持つ大手IT企業であるIBMさえも、従来型のエンタープライズ事業を手放し、最近もサーバ事業をLenovoに売却している。その一方Dellは、EMCを買収したり、大企業向けストレージ製品の販売によって高い利益率を目指すなど、正反対の方向へと歩んでいるように見受けられる。
しかしDell氏によると、世の中の流れに逆らうことに不安はないという。同氏は「他の人々と異なる道を歩むのに恐れを抱いた経験はない。これからも自らの信念に基づいて行動し続ける」と述べた。