マイケル・デル氏がEMC買収、クラウド、PC市場について見解語る

末岡洋子 2015年10月23日 17時01分

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 10月12日に670億ドルでEMCを買収する計画を発表した米Dellが10月20日、本拠地のあるテキサス州オースティンで開催する自社イベント「Dell World 2015」に合わせてプレス向けにセッションを設けた。主として記者からの質問に答えるもので、約30分、創業者でCEOのMichael Dell氏が幹部とともにステージに立った。

売上高800億ドルの非公開企業

 まず金額の面からも業界を驚かせたEMCの買収計画について、Dell氏は「サーバ、ストレージ、仮想化、PCの4分野で市場をリードする企業になる」とその目的を語る。製品に加えて、EMCが強みとしてきた大規模企業にDellがアクセスでき、Dellが強みとしてきたSMBと途上国にリーチできるという市場の拡大も挙げた。

 また、EMCとDellが共同でイノベーションエンジンとなるほか、Dellが世界的に敷くサプライチェーンも活用でき、合計の売上高800億ドル以上の企業が実現するスケールのメリットも得られるとした。


Michael Dell氏

 「(合併後に誕生する企業は)GartnerのMagic Quadrantsで22のカテゴリでリーダーのポジションを持つ。これが非公開企業の形で運営される」とDell氏。Dellは2013年に株式非公開化を果たしているが、その目的として短期的な業績に左右されずに長期的な戦略を敷いて運営していくとしている。

 一方で、額も規模も巨大な今回の取引には疑問もつきまとう。DellがEMCを買収して800億ドル企業を目指す一方で、ライバルのHewlett-Packard(HP)はまもなく分社化を完了させる。

 これについて聞かれたDell氏は、「(HPとは)企業の進化について視点が異なる」と述べた。自分たちの視点が正しいと信じる根拠としては、(1)スケール(PCでもデータセンターでもボリュームが大切)、(2)PC、スマートフォン、IoT端末とデバイスとデータの爆発が起こっており、デバイスからデータセンターまでのエンドツーエンドが重要になる、(3)顧客は取引する企業の数を減らしたがっている、の3つを挙げた。

 合併は大きなものとなるが、買収があくまで計画である現時点では具体的にいえないことも多い。Dell氏はアインシュタインの大統一理論(EMCはアインシュタインの方程式E=MC2と同じ)にかけて、「まずは今回のDell Worldでバージョン1の統一理論を話し、買収完了時にバージョン2を説明したい」とした。なお、EMCとの合併作業にあたってDell側を代表する担当者は、今年初夏にCOOに就任したRory Read氏となることが決定している。

パブリッククラウドへの脅威?--「ノー」

 DellとEMCの合体を、「Amazon Web Services(AWS)に代表されるパブリッククラウドの脅威に対する回答なのか、それともエンタープライズIT市場の縮小に対する回答なのか」という質問に対するDell氏の答えは「ノー」の一言。両方とも違うとした。

 「われわれは、できるだけコストを抑えながらインフラのデジタル変革を遂げるというCIOが抱える課題、仮想化とハイパーコンバージドへの移行、という顧客の課題に対応する。いわば新しいITの波であり、これを実現できる企業が生き残る」とDell氏。

 同日、決算発表を行ったEMCのVMwareは、EMCとともに「Virtustream」としてクラウドサービス事業をスピンアウトさせることを発表した。これについては、エンタープライズ領域で企業のワークロードのうちパブリッククラウドが占めるのは10分の1程度とした上で、VirtustreamはSAPなどのミッションクリティカルなアプリケーション向けだとした。

 Dellのクラウド戦略については、エンタープライズソリューションズを率いるMarius Haas氏が「クラウド事業者やウェブ技術プロバイダーのほとんどがわれわれの顧客だ。われわれはこれらの企業にとってサプライヤーでありパートナーだ。顧客と競合するよりも顧客をエネーブルするエネーブラーでいたい、これがDellの哲学だ」と説明、Dellがこれら顧客企業と対抗するようなパブリッククラウドを開始する計画はないことを示唆した。

 一方、ハイパースケール企業向けの事業は「Dellの中でもっとも成長している事業。特に石油・ガス、リサーチなどの業種でめざましく、顧客がやりたいことを実現するのを可能にしている」とした。

ZDNet Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

この記事を読んだ方に

関連ホワイトペーパー

連載

CIO
ITアナリストが知る日本企業の「ITの盲点」
シェアリングエコノミーの衝撃
デジタル“失敗学”
コンサルティング現場のカラクリ
Rethink Internet:インターネット再考
インシデントをもたらすヒューマンエラー
トランザクションの今昔物語
エリック松永のデジタルIQ道場
研究現場から見たAI
Fintechの正体
米ZDNet編集長Larryの独り言
大木豊成「仕事で使うアップルのトリセツ」
山本雅史「ハードから読み解くITトレンド放談」
田中克己「展望2020年のIT企業」
松岡功「一言もの申す」
松岡功「今週の明言」
内山悟志「IT部門はどこに向かうのか」
林 雅之「デジタル未来からの手紙」
谷川耕一「エンプラITならこれは知っとけ」
大河原克行「エンプラ徒然」
内製化とユーザー体験の関係
「プロジェクトマネジメント」の解き方
ITは「ひみつ道具」の夢を見る
セキュリティ
エンドポイントセキュリティの4つの「基礎」
企業セキュリティの歩き方
サイバーセキュリティ未来考
ネットワークセキュリティの要諦
セキュリティの論点
スペシャル
エンタープライズAIの隆盛
インシュアテックで変わる保険業界
顧客は勝手に育たない--MAツール導入の心得
「ひとり情シス」の本当のところ
ざっくり解決!SNS担当者お悩み相談室
生産性向上に効くビジネスITツール最前線
ざっくりわかるSNSマーケティング入門
課題解決のためのUI/UX
誰もが開発者になる時代 ~業務システム開発の現場を行く~
「Windows 10」法人導入の手引き
ソフトウェア開発パラダイムの進化
エンタープライズトレンド
10の事情
座談会@ZDNet
Dr.津田のクラウドトップガン対談
Gartner Symposium
IBM World of Watson
de:code
Sapphire Now
VMworld
Microsoft WPC
Microsoft Connect()
HPE Discover
Oracle OpenWorld
Dell Technologies World
AWS re:Invent
AWS Summit
PTC LiveWorx
吉田行男「より賢く活用するためのOSS最新動向」
古賀政純「Dockerがもたらすビジネス変革」
中国ビジネス四方山話
ベトナムでビジネス
日本株展望
企業決算
このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]