日本マイクロソフトは11月17日、IoT(Internet of Things)向けのWindows 10となる「Windows 10 IoT」に関する説明会を開催した。会場にはWindows 10 IoT各エディションを搭載した実機の展示や、米国本社から担当者が来日し、Windows 10 IoTで目指す今後のビジネスプランを明らかにした。
会場に展示されていたWindows 10 IoT搭載デバイスの数々
Microsoftは2014年9月に正式発表したWindows 10が、異なるデバイスでも同一のWindows 10が動作する"UWP(ユニバーサルWindowsプラットフォーム)"を提唱している。UWPにはPCを始めスマートフォンやXbox、IoTデバイスを含めていたが、その姿は明確ではなかった。
開発の現場ではWindows 10 IoTに関する準備が着々と進められてきたが、2015年9月30日にAzure IoT Suiteのプレビュー版を公開したことから、今回の説明会に至ったと思われる。
UWPの概要
最初に登壇したMicrosoft IoTデバイス エクスペリエンス セールス&マーケティング担当ゼネラルマネージャーのRodney Clark(ロドニー・クラーク)氏は、IoTを取り巻く環境を指して、「ガートナーの調査によれば250億ものデバイスがインターネットに接続し、IDCは1.7兆ドルの市場規模に達する。このIoTが生み出す価値の70%はB2Bシナリオから生まれる(マッキンゼー・アンド・カンパニー)」と各調査会社の発表を引用しながら、IoTビジネスの重要性を説明した。
MicrosoftのRodney Clark氏
さらに2010年から2015年現在までのIoTデバイスを指し、「5年前にもIoTデバイスは存在したが、UX(ユーザーエクスペリエンス)は限定的で、デバイス間の互換性は皆無だった。だが、現在はIoTデバイスは爆発的に増加し、互換性はもちろん開発環境やUXにおいても統一される傾向がある」と、IoTデバイスから生まれるビジネスチャンスが増加傾向にあることを示した。
日本においてもIoT市場は急速に成長し、Clark氏はIDC Japanの調査結果を引用して「大半の市場は停滞状態だが、IoT市場は年間12%以上の成長率を示している。我々はこの市場でも最大限の利益を目指す」と日本のIoT市場にコミットする意気込みを語った。
日本のIoT市場は2014年の9兆円から2019年には16兆円規模まで成長するとみられている
IoTビジネスを成功させる要因としてClark氏は、"相互運用性"や"共通の開発言語"など異なるデバイスでも同一の開発環境やUXが重要だと語りつつ、自社のWindows 10 IoTに話をつなげている。そもそもMicrosoftはWindows Embedded(CE)という組込み用OSをリリースしてきた。Windows CE 1.0は1996年11月にリリースしているため、組込みデバイス分野では20年の実績を備えていることになる。
今回Microsoftが発表したWindows 10 IoTエディションは、シェルなどを持たない最小構成の「Windows 10 IoT Core/Core Pro」、モバイルデバイス向けの「Windows 10 IoT Mobile Enterprise」、リッチなUIを必要とするx86向けの「Windows 10 IoT Enterprise」の3つ。
さらに予測メンテナンスや資産管理を実現するAzure IoT Suite(現時点ではプレビュー版)とWindows 10 IoTによる組み合わせを「ベタートゥギャザー」だと述べ、同社によるIoTビジネスの価値提案と説明した。また、IoTビジネスを行うパートナー同士を紹介する「Microsoft Azure Certified for IoT」サービスも開始するという。
Windows 10 IoTエディションの価値と対応デバイス