大企業でもアジャイルになれる
ソフトウェアの時代だとする現在はスタートアップ企業の存在が重要というGregoire氏だが、一方で「米国の75%のスタートアップ企業は5年経つと存在していない」実態を明かした上で、こう付け加えた。「古い企業がディスラプションを発揮できていないのは、その企業が持っている資産を上手く使いこなせていないだけ」
このように企業を取り巻く状況、同社が目指す方向を明らかにしたGregoire氏は、同社自身も環境の変化に対応するために、最高技術責任者(CTO)と最高製品責任者(Chief Product Officer:CPO)を迎え入れていることを話した。
CTOには、Microsoftでゲーム専用機「Xbox」を開発し、直近まではケーブルテレビ局のHBOでCTOを務めていたOtto Berkes氏が就任。CPOには、Cisco Systemsでソフトウェアエンジニアリング戦略を担っていたAyman Sayed氏が就任している。
「大企業でもアジャイルになって破壊的なビジネスを生み出すことができる」(Gregoire氏)例としてGregoire氏が挙げたのが、メーカーからはGeneral Electric(GE)やPhilips、通信業のTata CommunicationsやVerizon、T-Mobile、航空業の全日空(ANA)、金融のINGグループなどだ。いずれもCA Technologiesの製品を活用して効果を上げているという。
家電で有名なPhilipsは、アジャイル開発への移行を進めており、プロジェクトのリードタイムを60%削減、金額にして数百万ユーロを削減できたという。Tata Communicationsは、アジャイル開発を80%のITプロジェクトに適用、その結果として30~50%早くシステムをデリバリーできるようになったと説明している。日本のANAは、複数のプロジェクト全体をポートフォリオとして、企業の戦略と合致させて管理して進める「CA Project & Portfolio Management(PPM)」を活用している。
CA Technologiesは、企業と消費者の大きな接点となっているのがモバイルアプリであることから“アプリケーションエコノミー”というコンセプトを打ち出している。このアプリケーションエコノミーのキードライバーがモバイルアプリだ。同社は、モバイルアプリがどのように活用されているのかなどを調べられる「CA Mobile App Analytics」を提供している。
Verizonは同製品を活用している。T-MobileはDevOpsツールを活用している。DevOps関連ツールは、INGグループも活用。同グループは月間で1万6000の実装を進めており、モバイルアプリでのAPI使用率は以前の2倍になっているとGregoire氏は解説した。
11月18日午後にはCPOのAyman Sayed氏が会見で新製品などを解説した
API管理やDevOpsを強化
アジャイル開発やDevOps、API、セキュリティに注力するCA TechnologiesはGregoire氏が基調講演に登壇した、米国時間11月18日に新製品と既存製品の強化を発表している。
DevOps関連の新製品として「CA Live API Creator」「CA Mobile App Services」「CA Virtual Network Assurance」「CA Unified Infrastructure Management(UIM) for z Systems」(名称で分かる通り一部はAPI関連製品でもある)、セキュリティ関連の新製品として「CA Data Content Discovery」が発表された。
既存製品の強化では、アジャイル開発管理の「CA Agile Management Portfolio」と先に挙げたPPM、DevOps関連では「CA Service Virtualization」、セキュリティ領域では「CA Privileged Access Manager」「CA Identity Suite」がある。
Live API Creatorは、APIをデータベースへのシームレスなアクセスをより短時間に作成できるのがメリットという。Mobile App Servicesは、モバイルアプリとモバイルアプリからの送信データを処理するためのバックエンドシステムを短期間で開発できるようになるソフトウェア開発キット(SDK)とオープンAPIを搭載している。Mobile App Servicesを活用すれば、開発者は複雑なバックエンドコードを作成する代わりに、モバイルアプリのより良いユーザーインターフェースの作成に集中できるという。
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