人材育成の新手法「アクティブラーニング」

社内コミュニケーション失敗の末路--日本人の2大死因から考える - (page 4)

得能絵理子

2016-01-10 07:00

 われわれは、多くの会社の企業改革のコンサルティングを事業として持っているが、経験からわかっていることがある。それは、ビジネスがうまくいき急激に販売数が伸びる時、社員数が急増した時、市場に大きな変化が起きた時、会社は危険な状態になるということだ。いずれも、そうした変化の後、コミュニケーションが希薄化する。

 忙しくなったり、目の前に課題に対応するあまり、会話が減り、相互理解が減ってくる。そうしたコミュニケーション不足が、いずれ大きな事故を引き起こす。一見、無駄に思えるような情報にも意味がある。仲間の家族が病気なのかどうか。仲間の体調がいいのか悪いのか。子供さんがうまく受験に合格したのか、不合格だったのか。今週末に行われるコンサートに、若い社員がどれだけ参加したいと思っているのか。

 会社内で、コミュニケーションを取り過ぎるということはない。ただコミュニケーション不足はあっという間にさまざまな問題を引き起こすことになる。

 Googleをはじめとする、大きな成功を収めた会社は、コミュニケーションに重要な意味があるかということを理解している。コミュニケーションに支払うコストは、最大の投資であると理解しているからだ。


 年末の忘年会、年始の新年会。日本人はそうしたコミュニケーションには慣れ親しんでいる。それだけではない。それ以外にもできることはいくらでもある。 ちなみに、飲みに誘うことがコミュニケーションだと思っている方にお伝えしたい。お酒を飲むのが嫌いな人もいるということを……。きちんとコミュニケーションをとれば、そのことはすぐにわかる。

 ただ相手と交流すればいいというものではない。相手が何を求めており、どういった課題を抱えこんでいるのかを理解し、そのためにできることをする。これこそが、本当のコミュニケーションなのだ。


得能 絵理子
早稲田大学卒業後、株式会社アクティブラーニングに入社。「能動性喚起(アクティブラーニング)」をテーマにキャリア育成、企業改革、地方自治体改革のプロジェクトなどに従事。また、クリエイティビティやチームワークを始めとするヒューマンスキルも企業や教育機関で指導。日経新聞社主催セミナーや、日経BP社ビズカレッジPREMIUMで講師を務めるなど、数百名を超える参加者も能動的に巻き込むワークショップは定評あり。

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