SDN座談会(1):運用管理のあり方を変えるSDNは適材適所で考えるべき - (page 3)

吉澤亨史 田中好伸 (編集部) 山田竜司 (編集部)

2016-01-26 07:00

 ネットワークとセキュリティの構造をソフトウェアで実装し、物理層のネットワークをシンプルにしておくことで、シンプルなセキュリティポリシーを実装できて、データやアプリケーションの性質にあわせた高度な防御機能をソフトウェアによって適材適所に実装する柔軟性を実現していきたいと考えています。

適材適所のSDN

生田氏 私どもは、企業ネットワークの運用管理領域については、プリセールスSEの専任技術者15人くらいの後方支援チームで長年担当しています。お客さまに出向き、直接に問題を聞きながら解決策を提案したり、現状を分析したりといったことを進めています。

 Ciscoでは、当初データセンター領域を中心にSDNを強く推進していましたが、LANやWANについても要件の高まりを踏まえてもう少し注力する必要がある、ということで、2年ほど前から私自身もSDN専任チームに参加しまして、企業のLAN/WAN向けSDN領域を担当しています。

 「SDNをどう見ているか」ですが、一体何がSDNなんでしょうかというところから始まって、私たちはメーカーですから、「CiscoさんのSDNとは一体何?」とよく聞かれまして、「これです」というのが実はたくさんあるんですね。

生田和正氏
シスコシステムズ システムエンジニアリング SDN応用技術室 テクニカルソリューションズアーキテクト 生田和正氏

 簡単に言えばSDNはひとつの手法や考え方であって、NFVもSDNですし、クラウド関連技術そのものはSDNと同義ではありませんが、重複する部分が多々あるかと思います。OpenFlowはSDNでしょう。では、(SDNを実現するためのプロジェクト)「OpenDaylightは?」(IaaS環境構築基盤ソフトウェア)「OpenStackは?」と、特にSDNが指し示す範囲は多岐に渡りますので、「SDN製品とは何か?」を議論すること自体は、お客さまのニーズや問題を解決することとはかけ離れてるという印象があります。

 たぶん企業ネットワークの運用管理チームが感じられているところだと思いますが、SDNに絡めて社内や社外で格好いいことを言わないといけない。でも、実際に聞いてみると、有名な大企業であってもネットワーク管理自体はビジネスのメインの目的そのものではないから、そんなにお金も時間もかけられないというケースが多いんですね。「運用管理ツールをオーケストレーションして…」とか格好いいことを言わないといけないんですが、実際には今でもExcelでの運用管理を継続されている企業も少なからずいらっしゃるかと思います。

 それが、SDNという文脈が注目されてきたことでIT部門が陽の目を浴びて、運用管理を「もう一度きちっと考えていこう」というひとつのトリガーになっています。これはすごくいい流れだと思っています。例えば、ひとつのトポロジーマップが自動的に生成されるというのは昔からあったし、SNMPやSSH/Telnetを使って実現可能ですが、お客さまに見せると「えっ、これ自動で書いてくれるんですか? これ欲しい」みたいな話になります。

 やはり運用管理の現状というのはお客さまによってすごくバラバラなんですね。たとえば自動車の営業でもそうだと思うんですけど、スポーツカーが欲しい方がいれば、実用的なワンボックスカーが欲しい方もいれば、とにかく安いのを欲しいという方もいます。

 一般企業向けのSDNは特にそうですが適材適所だと思っていまして、先進性を重視して格好よくブランディングしている製品や技術もあれば、企業ネットワークで言えば、なるべくリスクを取りたくないから動いてるシステムに手を入れたくないというニーズに答えていくような製品もCiscoは提供しています。

 SDNというのはソフトウェアやプログラムからネットワークを動的に制御できる仕組みです。特に、企業LANやWAN向けということですと、たとえばセキュリティやQoS(サービス品質制御)といった設定は、最初のインテグレーション時にすべて洗い出して「これが完璧だ」というのを最初から見つけ出すのは難しい。

 SDNの仕組みを内在したインフラにしておけば、あとから動的にポリシーを付け加えたり消したりできますし、導入時は最小限のポリシーにしておいて、災害時には絶対にロスしてはいけないアプリケーションポリシーをソフトウェアから動的に展開するという使い方もできます。従来のネットワークの作法に則って管理しないといけないというネットワーク管理者の世界から、ウェブサービスのノウハウでリソースの一つとしてネットワークが扱えれば、他のアプリケーションとの連携や統合もしやすくなる、ということで喜ばれる企業もいらっしゃいます。

運用管理だけでは納得しない

林氏 IIJはネットワーク事業者であり、クラウド事業者ですので、ほかの方と立場が違うかもしれません。SDNについては、グループ会社がLANの領域で仮想ネットワークを実現するSDNソリューションを提供していました。そこでお客さまに「SDNはどうですか?」という話を提案しに行くのですが、正直に申し上げて反応はものすごく薄いです。

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