「Google Cloud Platform」のデータセンター内では、あらゆる機器が10Gバイトのイーサネットで接続されている。ユーザーがGoogle Cloud Platform上に保持しているコンテンツをクラウド外に取り出す際、Googleのコンテンツ配信ネットワーク(CDN)である「CDN Interconnect」が用いられるようになっている。このデータ転送は高速であるものの、その速度は十分とは言えない。そこでGoogleは、同社のクラウドにつながるパイプの数をさらに増やす目的で、世界的な大手CDNプロバイダーであるAkamai Technologiesと提携した。
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しかし、自社クラウドを出入りするデータの転送速度を高速化するためのGoogleの取り組みはこれだけではない。同社は米国時間11月19日、Akamaiとの提携に加えて、「HTTPS Load Balancing」の一般提供開始とともに、ソフトウェア定義ネットワーク(SDN)のための仮想化スタック「Andromeda」によるパフォーマンス向上の実績について発表した。また同社は「Google Cloud Router」と「Subnetworks」も発表した。Cloud RouterとSubnetworksにより、企業の顧客はよりきめ細やかなネットワーク管理/制御が可能になる。
Akamaiとの提携は、「スピードは機能である」というGoogleの信念を具現化するものだ。AkamaiのCDNがGoogleのCDN Interconnectに組み込まれることで、Google Cloud Platformからのトラフィックは、Googleのエッジネットワークから専用の経路を用いて接続されたAkamaiの特定CDN拠点に送り届けられる。これにより、レイテンシの低減と、クラウドからの取り出しコストの削減を顧客にもたらせるようになる。Akamaiとの提携により、Googleのネットワークへのアクセスポイントは大幅に増加する。このため、Google Cloud Platformはより応答性の高いサービスを提供できるようになる。
今回の提携により、「Akamai Intelligent Platform」はGoogleのネットワークと直接的に相互接続されるようになる。Akamaiによると、顧客はパフォーマンスの向上を実感でき、Google Cloud Platformからのデータ取り出しコストを最大66%削減できるという。
技術面では、GoogleはHTTPS Load Balancingを一般提供することでも、同社クラウドからのトラフィックを高速化しようとしている。同社は世界各地における70カ所以上のアクセスポイントと、専用のファイバーネットワークにより、レイテンシを大幅に低減させるとともに、アプリケーションの可用性を大きく向上させられると予測している。
Google Cloud Platformのユーザーの目には見えないものの、Googleは同社のSDN仮想スタックであるAndromedaのベンチマークで、そのスループットが倍増していると主張している(同ベンチマークは標準的なマシンタイプ「n1-standard-8」を使用し、単一ストリームと200ストリームの双方で実施されている)。同社のベンチマーク結果もそのことを裏付けている。
さらにGoogleによると、同社の仮想プライベートネットワーク(VPN)のユーザーにも直接的なメリットがもたらされるという。というのも、Subnetworksにより、同一ネットワーク内でリージョンごとに異なる宛先IPアドレス範囲を持つようなVPNゲートウェイの設定が簡単にできるようになるためだ。こうしたリージョンごとの設定が可能になることで、VPNの経路制御に柔軟性がもたらされるだけでなく、すべてのリージョンにまたがって単一IPアドレスを用いる場合に比べて、レイテンシの低減が期待できる。
この機能とともにCloud Routerを用いることで、GoogleとのエンタープライズグレードのVPN接続で動的なルーティングが可能になる。これはBorder Gateway Protocol(BPN)を使用するようになっている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。