米アクセンチュアは1月16日、デジタルテクノジに関する調査結果を公表した。デジタル分野のスキルとテクノロジを最大限活用することで、2020年までに世界で2兆ドルの経済効果がもたらされる可能性があり、世界の国内総生産(GDP)のうち20%強はデジタル分野のスキルや資産、商品、サービスから生み出されているという結果が出た。
このレポートには、主要11カ国におけるデジタル関連の経済規模を総合的に測定する新たな手法が用られ、ハードウェアやソフトウェア、関連テクノロジのほか、これらを業務で必要とする労働者がGDPの向上にどれだけ寄与するかを推計しているという。また、デジタル分野の商品やサービスに関して、生産過程における中間財としての価値も算出した。
これらの推計から、世界のGDPのうち22%は、デジタル分野のスキルや資産から構成されているデジタルエコノミーに関連するとの結果が出た。
デジタル化の先進国という米国では、GDPの33%が既存のデジタル分野への投資で占められており、米国の労働力のうち43%と、米国の労働力によって蓄積された資産のうち26%は、デジタル関連の活動を後押しできる可能性を秘めている。
他の市場におけるデジタルエコノミーの規模はさまざまで、英国とオーストラリアでは2020年に30%を超え、中国では13%になると試算されている。
(アクセンチュア提供)
レポートでは、企業が成長を加速させる際、その国の企業と経済におけるデジタル技術の活用度合いを示す「アクセンチュア・ストラテジー・デジタルデンシティ」のスコアを改善を促した。このスコアには、デジタル分野のスキルやテクノロジに加え、資金調達の容易さや国の規制環境の柔軟性といった、デジタル化を実現するさまざまな要因が影響するという。
例えば、米国経済のデジタルデンシティが10ポイント増えると、2020年の米国のGDPは3680億ドル増加する可能性があり、現時点の予測よりも1.8%増加する。しかしアクセンチュア・ストラテジーの試算によると、デジタル分野のスキル向上や資本増強などGDPを押し上げる要因が理想的に組み合わされば、2020年までにGDPは4210億ドル増加する可能性があり、現時点の予測よりも2.1%の増加となる。
デジタル化を推進する余地が多い国には、ブラジル(GDPが6.6%増加する可能性あり)、イタリア(同4.2%)、中国(同3.7%)、日本(同3.3%)を挙げた。
(アクセンチュア提供)
レポートでは、デジタルを生産性向上と成長に向けて活用するために組織が取るべき、以下の3つのアクションを提示している。
価値創造の可能性に基づいてデジタル分野への投資の優先順位を決める
スキル向上とテクノロジ改善の最適な組み合わせによってデジタル分野への投資効果を最大化できるように、投資のバランスを慎重に検討する。
業界に特化したデジタル戦略で競争優位を築く
自らの業界で競争に打ち勝つためのプラットフォームの選択、およびそこでの役割を明確化し、さらに競争優位を築くために必要なデータの取捨選択を行う。
デジタル変革にふさわしい環境を作る
政府との連携を通して業界間の壁を取り払い、競争ルールを変えることで、自社の「デジタルIQ(知能指数)」を高める。