エキサイトは、新サービス基盤にオープンソースソフトウェアのIaaS基盤構築管理ソフトウェア「OpenStack」を採用、ネットワークとしてイーサネットファブリックを構築した。ブロケード コミュニケーションズ システムズが3月1日に発表した。
エキサイトでは、これまで数多くのサービスを効率良く運用するためにサーバ仮想化基盤を構築、運用してきたが、ビジネスの成長に伴う仮想マシンの台数が増えるにつれ、仮想マシンを収容するサーバのI/Oも増え、ネットワークに過大な負荷がかかる課題が顕在化してきた。そこで今回、サービス拡大に伴うシステム基盤の増設に際し、ネットワーク設計を含めた抜本的な見直しを計画したという。
新たなサービス基盤ネットワークには、運用上の利便性やビジネスアジリティの向上を図るためにOpenStackの採用を決定。これまでの課題であったネットワークの複雑さや帯域の逼迫といった課題を解決しながら、OpenStackの利点を生かせる新しいネットワークアーキテクチャとして、OpenStack基盤のネットワーク構築で導入運用実績があるという10GbEのレイヤ2スイッチ「Brocade VDX」シリーズを採用。シンプルで将来の拡張にも迅速かつ柔軟に対応できる新しいネットワークを構築したとメリットを説明している。
VDXは、シンプルなファブリック構成と10GbEの組み合わせでネットワークの広帯域化とケーブル総数の削減の両方を実現可能と説明。OpenStackのネットワーク管理のコンポーネントである「Neutron」からブロケード製品を直接制御するプラグインを活用してネットワーク性能を劣化させることなく高度なネットワークサービスを提供できるという。
エキサイトでは、VDXに組み込まれている「Brocade VCS(Virtual Cluster Switching)」も活用している。VCSは従来のアクセス-アグリゲーション-コアという階層型ではなく、フラットなネットワークを構成できる。VCSは、数十台ものスイッチを単一の論理デバイスとして管理できるようになっている。VCSを活用することで、ネットワークの運用管理や将来の拡張作業にかかる工数を削減し、開発者を支援し、迅速なサービス展開を支援する柔軟なインフラになるとしている。
エキサイトの新しいサービス基盤には、物理サーバの接続に単一の10GbEが採用され、ラック内のサーバ群を接続するトップオブラック(ToR)スイッチ、ラック間を接続するアグリゲーションスイッチとして「Brocade VDX 6740」を導入され、イーサネットファブリックを構成されている。
TechRepublic Japan関連記事:SDN座談会
(1)運用管理のあり方を変えるSDNは適材適所で考えるべき
(2)ソフトのスピード感でネットワークを制御する利点を生かす
(3)インフラ自動化を支えるSDN--気になるコンテナとの関係
(4)ネットワークからアプリケーションを理解することの重要性
VDX 6740スイッチ間では単一のVCSロジカルシャーシが構成されているため、あたかも1台の仮想的なネットワークスイッチですべてのサーバ群が接続されているかのような運用が可能になり、ネットワーク管理は著しく簡素化された。
Neutronを使用しているものの、完全なソフトウェアベースによるネットワーク性能の劣化を回避するためブロケードが提供するプラグイン「Brocade Neutron Plugin for VDX/VCS」を組み合わせることで、ソフトウェア制御ならはでの柔軟性を維持しつつ、ロスのない優れたネットワーク性能を達成している。
エキサイトでは現在、3月までに新しいOpenStack基盤で複数のサービスを立ち上げる準備を進めている。同社では、今後もOpenStack基盤での運用実績を重ね、将来的にはOpenStackへの完全統合を視野に入れつつ、OpenStack APIなどを活用した運用の自動化につなげていく計画という。