Lufthansaのソフトウェア開発者Shmueli Englard氏は「正直なところ、現在のUWPはWindowsやWindowsの考え方と密接に結びつきすぎているという点だけ見ても、真に『ユニバーサル』なものになるとは考えにくい」と述べるとともに、「また、コードを1度記述するだけで、どのプラットフォーム上でも実行できるという考え方の愚かさをMicrosoftも理解していると思う」と述べている。
Microsoftの最高経営責任者(CEO)Satya Nadella氏が「クラウドファースト、モバイルファースト」という言葉をMicrosoftのスローガンとして使い始めた理由は元々、モバイル機器によるインターネット接続の増加とともに、クラウドへの依存の高まりがあったためだ。Microsoftのサービスにコンシューマーや企業ユーザーを引きつけることが、同社の重要な目標になってきているのだ。しかし、「Microsoft Azure」の必要性を開発者に納得してもらうために同社がやるべきことは、まだ数多くある。
しかし、時代と人々の期待は変わりつつある。
最近になって同社が「MicrosoftはLinuxが大好きだ」というメッセージを前面に押し出している理由は、LinuxがMicrosoft Azureの成長の鍵を握っているという点が大きい。Azure上の仮想マシンの4分の1以上ではLinuxが稼働しており、多くの新興企業やその他の開発者らはLinux上でさまざまな作業をこなしている。このため、開発者にAzureの魅力を感じてもらおうとすれば、クロスプラットフォームに対応した.NETと、クロスプラットフォームに対応した開発ツールが必要なのだ。
「Build 2015」カンファレンスで同社は、OS XやLinux、Windowsをターゲットにした「Visual Studio Code」のプレビュー版を披露した。これはクロスプラットフォーム対応の軽量エディタだ。その披露の際にMicrosoftは、Visual Studio Codeがクロスプラットフォーム対応開発ツール群の第一弾でしかないと語っていた。
筆者が最近話をした匿名希望のある開発者は、「Microsoftが進むべき道はXamarinをVisual Studioに(そして、次にVisual Studio Codeに)完全に統合し、すべてのクライアントプラットフォームのためのアプリ開発環境にすることだ」と語ったうえで、「この『一緒の方がよい』という展開はVisual StudioとWindowsの話というよりも、Visual StudioとAzureの話なのだ。Azure上で可能な限り多くのコードを動作させ、Azure上に可能な限り多くのデータを移行する。そして、Azureを企業コンピューティングの中心にするというわけだ」と続けた。
Microsoftのウォッチャーらによると、XamarinのVisual StudioやAzureとの統合が近い将来にさらに進むということは、2つのテクノロジスタックがより緊密に連携するようになるだけでなく、今までよりも手に入れやすい開発環境が生み出されることをも意味しているという。