PLMソフトウェアの選び方
PLMまたはPDMツールといっても、さまざまなものがある。すべての製品が一様の機能を持っているわけではなく、その多彩さ、用途の広さに面食らうことが多い。
おおよそ大別すると、久次氏が解説してくれたような「BOMなどの製造に必要なデータを包括的に管理できるもの」「CADなどの設計データ関連のソリューションとの連携を特徴としているもの」「IoT関連ソリューションとしてアピールしているもの」の3種類だ。
Azureなどクラウドで「まずは使ってみる」
ユーザーがどのような用途でツールを導入したいかで、選択するソフトウェアは違ってくるわけだが、「PLM」「PDM」という単語が付いているからといって、どれも似たようなものだと考えない方がいいだろう。
久次氏は、クラウドサービスでPLM機能を提供しているケースもあるので、まずそうしたサービスで試験的に導入してみるのも手だと指摘する。
「アラスの製品もMicrosoft Azureなどのクラウドサービスで利用できるようになっています。例えば、導入するのに3年以上かかるというユーザーが多くいる製品をいきなり選択するよりは、クラウドで試してみる方が、業務とのマッチングの検討に役立つはずです」
PLM製品の導入は時間がかかり、アップグレードも難しいという声がよく聞かれる。これは、導入企業ごとに製品も製造プロセスも部品数も違うことから、カスタマイズ作業がどうしても増えてしまうからだ。
そのために、アップグレードすると従来利用していた機能が使えなくなるケースが発生してしまう。こうしたことを想定して、柔軟なソフトウェアを選択する必要がある。
また、ユーザーが数千人規模になっても遅滞なく稼働することや、ソフトウェアのアジャイル開発にも対応できることなども重要なポイントとなると久次氏は指摘する。
機械製品を電子制御する「メカトロニクス」の時代から、ソフトウェアによってさらに多彩で緻密な制御を実現する時代へ――。この変化は、さまざまなイノベーションを生み出すきっかけになると期待されている。そうした意味でも、製造業におけるソフトウェア開発には新しい管理手法が求められている。