ここまでAWSを活用するときに役立ちそうなコツや考え方を紹介してきた。AWSは数あるクラウドプラットフォームの中でも比較的に機能が充実しているため、AWSを活用しようとしたときの用途や目的は多岐にわたることだろう。ミッションクリティカルな企業システムをAWSに構築するというプロジェクトも最近は増えつつあるが、オンプレミスに慣れてしまっている企業のAWSへの移行は、現行ポリシーの問題や運用をどうするかなどハードルがまだまだたくさんあるはずだ。
今回はむしろどの企業でもすぐにAWS活用が始められて、すぐに効果が得られる「CDN」を紹介したい。あなたの会社のウェブサイトに訪れるユーザーに対して、コンテンツを高速配信し、おもてなしをする仕組みだ。
CDNとは
CDNとは、Contents Delivery Networkの略である。コンテンツ(HTML、イメージ、JavaScript、CSS、動画などのファイル)などをユーザーに配布するための専用の仕組みだ。
多くのウェブコンテンツは、ウェブサーバから配布していることだろう。人気のあるコンテンツを配信するサイトや、B2Bの企業でもコーポレートPR活動が上手だったり、魅力的なキャンペーン情報などが発信されたりすると確実にウェブを訪れるユーザーが増加する。
同時にウェブサーバの負荷が増えていき、ユーザー側のコンテンツ表示はどんどん遅くなっていく。遅くなったサイトの表示をのんびり待ってくれるユーザーばかりではないし、実際に表示が遅くてイライラした体験をお持ちの方も多いはずだ。
そんなときにCDNはとても役立つ。CDNは、アクセスしたユーザーに対し効率的かつ適切にコンテンツを配布する仕組みなのだ。
例えば、アクセスがとても多いサイトでも、常に必ず表示されるような画像(サイトのロゴや会社のロゴなど)やHTMLデザインのCSSなどは頻繁に変わらないだろうが必ず読み込まれるファイルだ。このように頻繁にアクセスされるファイルは、CDNを利用してユーザーに配布すると効率的だ。他にも画像ギャラリーのページなどにも有効だ。
CDNは同じURLのコンテンツをキャッシュし、世界中に散らばるキャッシュサーバから配布される。画像や動画を多用するような重いページが増えているので、CDNの導入は是非とも検討するべきだ。
CDNを利用すれば、ウェブサーバが高負荷に強くなり、負荷を下げられる。拠点との距離もカバーし、レイテンシ(遅延)も低くなり高速なレスポンスとなる。結果、もっとも喜ばしいことはコストと時間をかけて用意したコンテンツを、アクセスしてくれるユーザーにサクサク見てもらえるようになるのだ。