MySQLからAmazon Auroraへの移行は体育会系だった - (page 2)

松下康之

2016-05-23 07:30

--当時、まだ出たばかりのAuroraに移行したことになります。

 実際にAuroraに移行を検討している時期に、とあるバッチのジョブを実行してみて、エラーで動かないということが判明しました。この時は目の前が暗くなりましたね。ああ、これはもう駄目かもしれないということで。

 でも当時はAWSのエンジニアとも色々相談し、AWSとしてもAuroraをチューニングしている最中だったことが分かりました。その後に、同じジョブが正常に動作した時はホッとしました。これで移行できると思いましたね。世界的には既に事例があったと思うんですが、日本であの時期にAuroraにあれだけのジョブを実行させるというのは、日本では初めてだったと思います。

--まさに体育会系の移行作業という感じですね。では移行されてからの効果というか目的は達成出来たのでしょうか?

 はい。従来マスタースレーブで6台構成のデータベースが、マスターとスレーブの2台構成、Auroraの場合はライタとリーダと呼ぶそうですが、その2台だけの構成で運用できていますので、効果は充分に達成できたと考えています。さらに、速度も速くなりましたし、運用に必要な人員も、もともとの3人から今では1人です。あとECサイトの最も利用される時間帯というのが20時ごろなのですが、その時間帯のアクセス数の増大にも耐えているので、しばらくはこれで問題ないと思います。

 AWSにかかるコストもだいぶ削減できましたし、何よりも社内の人的リソースをそこに割かなくても良くなったというのがとても大きいです。レプリカラグを解消するというのが当初の目的でしたが、結果的にそれが無くなったことで管理コストが減り、新規機能の開発にリソースを回すことができるようになったのです。そういう意味ではとても効果が出ていると思います。まだ稼働して数カ月ですが、実際に以前のラグというか、トラブルが起きて緊急に何かしなければいけないという事態がゼロになりました。

--将来的にはどのくらいの規模まで想定しているのでしょうか?

 我々のグループ会社であるSupershipがDSPの事業を展開しているのですが、そのシステムのトラフィックはFlipdeskの約50倍くらいあります、最終的にはその規模までには拡張する予定です。技術的にはAuroraだけではなくて、DynamoDBも視野に入れつつ検討を進めています。

 <取材者から> トラディショナルなリレーショナルデータベースからウェブスケールの分散データベースへの移行は互換があると言いつつも、実際には苦労があったようで、時には体育会系の仕事にならざるを得ない。AWSのエンジニアを巻き込み、新しいサービスであるAuroraをシステム基盤として稼働させた経験は今後も役に立つのではないだろうか。

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