Googleの親会社であるAlphabetは、Googleのエンタープライズ向けクラウド事業と、この事業部門が責任者であるDiane Greene氏の指揮下でどのように強化されているかについて、第1四半期決算に関するカンファレンスコールで多くの時間を割いて説明した。
Google Cloud Platformの責任者Diane Greene氏
Googleの最高経営責任者(CEO)、Sundar Pichai氏のエンタープライズ向けクラウドについての話を聞きながら、筆者は、この数年間Googleは何をやっていたのかと考えていた。
Googleがクラウド事業を立ち上げたのは何年も前であり、2013年には「Amazon Web Services」に対抗すると得意げに語ったにも関わらず、その後は横道に逸れてしまった。企業は、Googleのパブリッククラウド事業が、いずれサービスを中断してしまうベータ版のなのかどうか判断できなかった。
その一方で、Amazon Web Servicesはシェアを広げ、売上高を伸ばし、顧客を獲得した。AWSは尋常でない勢いで力を注いだ。IBMはSoftlayerを買収し、クラウドを構築した。また、Microsoftの「Azure」も急速に進歩した。Googleはこのところ、協議を進めていくつかの重要な顧客を獲得している(ただし、これはゼロサムゲームではない)。
しかし今回のカンファレンスコールでは、Googleとクラウド事業のほかのライバル企業との成熟度の差が際立った。Googleがエンタープライズ向けクラウドについて語っている間に、ライバルは実際にサービスを普及させている。
考えてみてほしい。
- Microsoftは商用クラウド事業のランレートが100億ドルに達したと発表した。一方ではAzureに人工知能、モノのインターネット(IoT)、アナリティクスツールなどの機能を追加してきた。
- AWSはシカゴで開催したカンファレンスで、GE Oil & GasやKellogなどの大口顧客を獲得したと強調。GE Oil & Gasの最高技術責任者(CTO)Ben Wilson氏は、このカンファレンスで基調講演を行った。またWilson氏はインタビューの中で、同社はすでに350種類のアプリケーションをAWSに移行済みであり、最終的には500種類前後を移行させる予定だと述べている。同氏によれば、GE Oil & Gasのアプリケーションは多くのユーザーを抱えているわけではないが、ソフトウェアパッケージごとに75個のインターフェースがあるような状況だという。Wilson氏は「すべてを一度にAWSに移行したわけではなく、小さなアプリを移行しながら、時間を掛けてスキルを習得した」と述べ、同社は「Amazon Aurora」を使用したデータベースに移行しようとしていると説明した。
- IBMはHalliburtonと、油層シミュレーションをIBMのクラウドで実行する契約を結んだ。このHalliburtonのアプリケーションは、さまざまなシナリオにおいて、油田やガス田からどの程度の産出量が見込めるかを理解するためのシミュレーションモデルを実行するものだ。