Googleは、サンフランシスコで開催した「Google Cloud Platform NEXT 2016」(GCP NEXT 2016)カンファレンスにおいて、「Google Cloud Platform」の優位性をエンタープライズに向けてアピールした。このアピールは功を奏するだろう。というのも同社は、過去の企業獲得戦略で使用し、効果のあったメッセージを組み合わせていたためだ。

Googleのクラウド事業を率いるDiane Greene氏
同カンファレンスの基調講演では、Googleのクラウド事業を率いるDiane Greene氏や、Alphabet会長のEric Schmidt氏のほか、幹部らやイノベーターらが、インフラ管理からビッグデータ、アナリティクス、機械学習といったさまざまな分野における新しいツールに関する概要を説明していた。
これらの講演すべてに共通する、同社のエンタープライズ向けクラウド分野に関する主張は明白だ。Googleは、同社のクラウドがもはやベータ段階ではないという事実を法人顧客に知らしめたいのだ。Google Cloud Platformの幹部らが基調講演でやったことはある意味において、「Google Apps」の普及戦略で同社が2009年にやったことと似通っている。「Gartner Symposium/ITxpo 2009」においてSchmidt氏は、IT分野の顧客にアピールするために最高情報責任者(CIO)らに向けて語りかけ、同社が企業分野に本腰を入れている点をアピールしていた。
今回のカンファレンスでは、以下のような内容が発表された。
- 「Cloud ML」プラットフォームなどの機械学習ツール、および「Vision API」や「Translate API」を含む「Speech API」
- クラウドストレージやクラウドコンピュートを対象とした監査ログやアイデンティティ管理、セキュリティ、暗号化鍵といった企業向け機能
- Google Cloud Platformと「Amazon Web Services」(AWS)の運用管理を可能にする監視ツール「Google Stackdriver」のベータ版
- クラウドVPN向けツール群や「Google Cloud Router」「Google Cloud CDN」
Greene氏の講演は少し準備不足の感があったとはいえ、そのプレゼンテーションとGoogle Cloud Platformのメッセージの至るところに同社のノウハウと経験がちりばめられていた。実際のところ、Google Cloud Platformに関するメッセージの核心は、法人顧客に向けて効果を発揮した、過去の戦略をマッシュアップしたもののように感じられた。では、それらを順に見ていくことにしよう。