「Google Cloud Platform」といえば、多くの人は企業がウェブサイトやバックエンドのインフラ構築に使用するものだと思っているだろう。しかし、Googleはこのプラットフォームを、別の種類の技術でも利用されるものにすることを目指している。その技術とは、モノのインターネット(IoT)だ。
GoogleでIoTソリューションの責任者を務めるPreston Holmes氏は米国時間3月23日、「Google Cloud Platform NEXT 2016」(GCP NEXT 2016)カンファレンスの分科会セッションの1つで、GoogleがIoTの開発にどのようにアプローチしており、IoTのインフラをどのようにサポートしようとしているかについて説明した。
Holmes氏は、同氏によるIoTの仮の定義から話を始めた。IoTの決定的な定義はまだ存在しないが、Holmes氏は「IoTとは変化の時期だ」だと述べている。そして、デバイスがすべてネットワークにつながれば、それはIoTではなくなり、単にわれわれユーザーがネットワークにつながった生活の中で日常的に使うものになると語った。
多くの企業の目的は、(Googleもその例外ではないが)スマートな「モノ」が生成するデータを収集して利用することだ。IoTはそのための手段となる一連のテクノロジだと言える。
IoTにさまざまな試行錯誤が必要なことが、取り組みの足取りを遅くしているが、これはIoTに複雑さが伴うからだとHolmes氏は言う。IoTを利用するには、まずハードウェアメーカーを選択する必要があり、OSを利用するかどうかを決定し、利用するのであればどのOSを使うかを決めなくてはならない。他にもさまざまな要素がある。
Homes氏はIoTのインフラは、次の3つの核となるコンポーネントから成立していると説明する。
- デバイス
- ゲートウェイ
- クラウド
IoTのデバイスは、ハードウェアとソフトウェアからなっている。各デバイスは、次の4種類の基本的なデータを生成する。
- メタデータ(データに関するデータ)
- 状態(デバイスの状況)
- コマンド(デバイスが取るアクション)
- 遠隔測定情報(デバイスを取り巻く環境のデータ)
IoT環境ではデバイスは集中的に管理されており、デバイスの管理は極めて重要なものとなる。デバイスの管理に必要な主な機能には、ネットワークのプロビジョニング、デバイスの登録、デバイスの認証、デバイス群運用管理、ソフトウェアアップデートがある。Googleはこのデバイス管理を、同社の製品「Brillo」と「Weave」、プラットフォームパートナー、オープンソースによって実現しようとしている。
BrilloはAndroidカーネルをベースにした、GoogleがメンテナンスしているIoT用OSだ。Brilloはアナリティクス、無線経由のアップデート、Weaveの統合、遠隔測定情報の処理などの機能を提供する。Brilloの導入が進めば、Androidのエコシステムにとってもメリットが生じるかもしれない。
一方、WeaveはGoogleのIoT用オープン通信プラットフォームだ。このプラットフォームはデバイスのコマンドを標準化することを狙ったもので、ユーザーがモバイルデバイスからIoTデバイスとやりとりする際に使用される。また、WeaveはGoogleのサービス群との統合機能も持っている。
Preston Holmes氏
提供:Conner Forrest/TechRepublic