EMCジャパンは5月25日、日本での製品戦略説明会を開催した。EMCは5月初旬、同社の年次コンファレンス「EMC World 2016」でコンバージドインフラストラクチャ製品群やデータ保護製品を発表している。会見では、これら製品の特徴を紹介するとともに、日本市場での展開時期などが明かにされた。
EMCジャパンで代表取締役社長を務める大塚俊彦氏は、「モダンデータセンター(データセンターの最新化)」のポートフォリオについて、「ストレージシステム」「コンバージドインフラストラクチャ」「クラウドソリューション」の3つのカテゴリで対応すると説明。それぞれのカテゴリに属する製品を説明した。
“モダンデータセンター”を構成する製品群
EMCジャパン 代表取締役社長 大塚俊彦氏
ストレージシステムでの注目は、オールフラッシュの新製品である。ミッドレンジの新ストレージアレイ「Unity」をはじめ、デュアルタイプのラックスケール型である「DSSD Dual Rack」、「Isilon」のオールフラッシュ不トレー時開発プロジェクトである「NITRO」などだ。
特にEMC World 2016の目玉として紹介されたUnityは、オールフラッシュ版の最小構成である「Unity 300F」が1万8000ドル~と、価格面でも注目された。同製品は日本でも提供が開始されており、税別価格は842万円~となっている。
この価格差について同社は、「1万8000ドルはストリートプライスとしての発表で、日本での842万円は定価ベースの発表」だと説明した。DSSD Dual Rackとハイエンドのオールフラッシュストレージである「VMAX All Flash Enhanced」は、2016年下半期での提供が予定されているという。
コンバージドインフラストラクチャの分野では、「VCE VxRack System 1000」のクラウドネイティブ対応版「VxRack System with Neutrino Nodes」が2017年中に提供される予定だ。同製品は、オープンソースの「OpenStack」「VMware Photon Platform」「Apache Hadoop」など複数のクラウドネイティブIaaSのサポートを念頭に構築されている。EMCでは、「エンタープライズレベルのIaaSを数日間で導入できるとともに、リソースの最初のプロビジョニングも、1時間未満で動的に実行できる」としている。
クラウドソリューションでは、クラウドネイティブなアプリケーションの開発環境を提供する「Native Hybrid Cloud」が2017年中に提供される。ミッションクリティカルな環境向けクラウドサービスである「Virtustream Storage Cloud」も、グローバルでは2016年第4四半期(10~12月)から展開するという。ただし、同サービスの日本での提供開始時期は未定となっている。
「Native Hybrid Cloud」の提供パターン。すべて2017年中の提供を予定しているという
管理ツールでは、コピーデータの発見と管理プロセスを自動化する「Enterprise Copy Data Management(eCDM)」、クラウドでのデータバックアップツールである「Data Domain Cloud Tier」が2016年下半期から提供される予定だ。EMC World 2016で紹介されたクラウドベースのサービスダッシュボード「EMC MyService360」(5月2日提供開始済み)は、「EMCオンライン サポート」に登録しているユーザーなら追加費用なしで利用できる。
EMCでは2016年を「オールフラッシュ元年」と位置付けており、オールフラッシュ製品を積極的に投入していく方針だ。実際、オールフラッシュのブロックストレージ「XtremIO」は業種、業界を問わず導入が進んでおり、「2ケタ成長を続けている」(大塚氏)という。
同氏は、「消費電力やスペースなどを考慮すれば、オールフラッシュ(ストレージ)を導入しない理由はない。日本でもオールフラッシュの導入はますます加速していくと確信している」と期待感を示した。