素のOpenStackでメジャーリリースに追従
今回強化したNEC Cloud SystemのOpenStack版は、オープンソースのサポートサービスの一種と言える(図2)。提供するソフトウェアはOpenStackそのものであり、手を付けていない。
周辺サービスとして、構築支援サービス、運用支援サービス、各種のサポートサービスを組み合わせて提供する。なお、NEC Cloud Systemには、オープンソースを採用したOpenStack版以外にVMware版もある。

図2:NEC Cloud System(OSS構築モデル)は、OpenStackをそのままの形で使う。OSSのサポートサービスの一種と言える。独自開発を極力排除することで年に2回のメジャーリリースに追従できるようにしている

NEC プラットフォームサービス事業部主席システム主幹 上坂利文氏
OpenStackに手を入れていないことはNECの強みだと、NECでプラットフォームサービス事業部主席システム主幹を務める上坂利文氏は言う。「独自機能を作りこんでいないので、OpenStackの新しいリリースが登場してから数カ月で追従できる」(上坂氏)。ユーザーの要件に応じて個別にカスタマイズしなければならない部分については、コミュニティーに還元することによってオープン化を促進する。
「OpenStackだからといって、ベンダーロックインを免れるわけではない」と上坂氏は警笛を鳴らす。独自にカスタマイズする方針で支援サービスを提供すると、年に2回と頻ぱんなメジャーリリースに追従できなくなり、結果としてベンダーにロックインされるからだ。「オープンであることがOpenStackのモチベーションなのだから、これはおかしい」(上坂氏)
ただし、OpenStackでは実現できないことも多いと上坂氏は言う。NECがユーザーからクラウドへの要望を集めたところ、2000件ほどにのぼり、このうち66%はOpenStackでは実現できないことだった(図3)。これについては、他のオープンソースと組み合わせて実現する方針だ。実際に、今回の2ndリリースでは、ネットワークアプライアンスを配備する機能として他のオープンソースを利用している。

図3:現状ではユーザーの要求のうち66%はOpenStackでは実現できない。このため、他のOSSの活用などが必要になる