レッドハットは5月17日、同社のOpenStackディストリビューションの最新版「Red Hat OpenStack Platform 8」とRed Hatの各種クラウドテクノロジをひとつのスイートに統合した「Red Hat Cloud Suite」の2つを発表した。
提供価格は、Red Hat Open Stack Platform 8については前版から据え置きの50万6900円から、Red Hat Cloud Suiteが166万3900円から。

レッドハット 執行役員 サービス事業統括本部長 水橋久人氏
執行役員でサービス事業統括本部長の水橋久人氏は「Red Hatのクラウド(OpenStack)ビジネスは前年に比べて3倍に成長したが、特に2015年第4四半期(2015年12月~2016年2月)の伸びは著しく、この時期だけでクラウドビジネスにおける年間の半分以上の収益を上げている。これはつまり、OpenStackのPoC(Proof of Concept:概念実証)もやりつつ、本番導入で業務に適用している企業が増えているということ。この勢いを続けながら今年度はOpenStack市場でマーケットシェアもマインドシェアもトップになることを目指す」と語り、OpenStackにさらにフォーカスする姿勢を明らかにしている。
レッドハットが提供するクラウド製品は大きく3つのラインアップに分かれている。Red Hat Enterprise Linux(RHEL)とOpenStackで構成される「Red Hat OpenStack Platform(OSP)」、OSPに仮想化環境(Red Hat Enterprise Virtualization)と管理ツール(Red Hat Satellite)、運用管理サービス(Red Hat Insights)を加えた「Red Hat Cloud Infrastructure」。そして今回からラインアップに加わった「Red Hat Cloud Suite」は、Cloud Infrastructureにコンテナアプリケーションプラットフォーム(OpenShift Enterprise)を含んだ年間サブスクリプション形式での提供となる。

Red Hatのクラウドソリューションのラインアップは全部で3つに
今回発表されたOpenStack Platform 8は2015年10月にリリースされたオープンソースプロダクトの「OpenStack Liberty」をベースにしており、並行して開発されたRHEL 7.2とともに提供される。RHELとの最適化を図るため、クラウドストレージには64Tバイトのソフトウェアディファインドストレージ(SDS)「Red Hat Ceph Storage」を、さらに管理機能としてLinuxとWindowsの両方のワークロードを管理する「Red Hat CloudForms」を、それぞれネイティブに包含している。
前版からの変更として、アップグレードやアップデートの自動化を実現しダウンタイムを最小化する「OSP Director(TripleO)」の実装、IPv6対応の拡張、Open vSwitchの性能と安定性の向上などが行われている。新たなテクニカルプレビュー(サポート未対応の技術)としてベンチマークサービスの「Rally」、OpenStack自体のDockerコンテナ化プロジェクト「kolla」、SDN(ソフトウェアディファインドネットワーク)構築のための「OpenDaylight」などが搭載されている。

Red Hat OpenStack Platform 8の構成。RHELの上に構築されたLivertyベースのIaaS環境