NECは6月2日、OpenStackベースのプライベートクラウド環境構築ソフト「NEC Cloud System(OSS構築モデル)」を強化し、新機能を加えた「2ndリリース」の提供を開始した。OpenStackが標準で備えない機能として、複数のデータセンターを統合管理する機能と、負荷分散装置などのネットワークアプライアンスを動的に配備する機能を追加した。
複数のデータセンターを統合管理する機能の1つとして、OpenStackの管理ダッシュボード「Horizon」を階層型で利用する機能を追加した(図1)。個々のデータセンターで動作しているHorizonを一元的に管理できる。管理対象として、異なるバージョンのOpenStackが混在していても構わない。さらに、データセンターに適用するポリシーも階層型で管理できるようにした。複数のデータセンターを用いた災害復旧(DR)対策の仕組みも用意した。
図1:NEC Cloud System(OSS構築モデル)の2ndリリースでは、複数のデータセンターを統合管理する機能を追加した
一方、ネットワークアプライアンスを動的に配備する機能は、OpenStack標準では機能が足りないため、アイルランドのUBIqubeが開発したMSActivatorと呼ぶオープンソースのプロビジョニングソフトを採用した。これを使うと、仮想アプライアンスや物理アプライアンスを動的に配備して設定を反映できる。
NECが検証済みなのは、仮想アプライアンスがA10 NetworksのvThunder(負荷分散装置)、F5 BIG-IP VE(負荷分散装置)、Fortinet FortiGate-VM(ファイアウォール)、Palo Alto VM-Series(ファイアウォール)、NEC InterSecVM/SG(ファイアウォール)、NEC InterSecVM/LB(負荷分散装置)。物理アプライアンスが、F5 BIG-IPとFortinetのFortigate。
新機能のうち、マルチデータセンター対応は、OpenStackの機能をベースにしつつ、NECが新規にカスタマイズ開発した。独自に開発した部分については、ソースコードをOpenStackのコミュニティーに還元したという。標準機能として取り込まれれば、独自開発コードを使わずに済むからだ。もう一つのネットワークアプライアンスの管理機能については、OpenStackと他のオープンソースを組み合わせる形で実現した形になる。