折しもライバルDellが、VMwareを傘下に収めるEMC買収をするところ。Whitman氏は「コンテナが長期的に仮想化技術に与える影響は?」と尋ねた。Golub氏は最初、「黙秘権使っていい?」と冗談を言いながらも、「仮想化はすばらしい技術だが、サーバの移動のための技術といえる。アプリケーションの場合はDockerの方がソリューションとして優れている。Gartnerは2018年には50%のワークロードがコンテナに移ると予想しているが、私は多くがハイブリッドになると見込んでいる」と話した。
セキュリティへの懸念については、DoDや財務機関が導入しており、ミッションクリティカルなシステムで利用している、とGolub氏。それどころか「セキュリティへの意識が高い企業が、セキュリティへの懸念を理由にDockerを採用し始めている」とも述べた。
そして、HPEが推進するコンポーザブルインフラを引き合いに出し、「コンポーザブルインフラがあるのと同じ方法でコンポーザブルアプリケーションがあり、実装するものをすべてソースまで追跡できる。構築した後は自動でテストし、脆弱性スキャンができ、デジタル署名ができる――これにより、自社の環境に(セキュリティ上)悪いものが実装されているという可能性は低くなる。さらには、万が一悪いことが起こってもスワップできる。しかも残りのアプリはそのまま、マシンのシャットダウンは不要だ」と説明した。
HPEとDockerは戦略的提携により、「HPE ProLiant」サーバはもちろん、コンポーザブルインフラ「HPE Synergy」、コンバージドシステムの「HPE Converged System」などすべてのHPEサーバにDocker Engineをバンドルする。
HPEの顧客へのメリットとして、Golub氏は、「Dockerは破壊的な技術だが、われわれはDockerの採用を破壊的ではなく簡単にしている。われわれは時間をかけて統合を進めた。
これにより、HPEのハードウェアにすぐに使える状態でDockerの商用のEngineとサポートがバンドルされ、Dockerが提供するオーケストレーション、ソフトウェアライフサイクル管理などの管理ツールがシームレスにHPEのOpenView、SiteScopeなどの管理技術で利用できる。時間を大幅に制約でき、バリューをすぐにうむことができる。これは大きい」とGolub氏。コンポーザブルによる敏捷性や柔軟性に加えて、土台からの安全性も手に入れられるとした。
2社は共同で、Dockerのエンタープライズ向けサービス「Docker Enterprise」を提供することも明らかにしており、法人分野を強化するDockerはここにも期待しているようだ。
HPEのCEO、Meg Whitman氏に招かれて基調講演のステージに上がったGolub氏