帝京大学病院、Dellのハイパーコンバージドシステムを導入し医療サービスの拡充

NO BUDGET

2016-07-22 16:17

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 帝京大学医学部附属病院は、病院情報システムのリアルタイムなデータを活用して仮説を立て、すぐに検証を行う需要が増えてきたことを受けて、ハイパーコンバージドインフラストラクチャアプライアンスを導入した。製品を提供したデルが7月20日、ユーザー事例として公表した。

 帝京大学医学部附属病院では、同大学医療情報システム研究センターが中心となって医療IT導入やシステム開発に取り組んでおり、2009年からは仮想化基盤も導入し、病院の基幹システムのインフラとして活用してきた。しかし、より迅速な臨床研究と医療サービスの提供を目指す中で、従来の仮想化基盤では限界を感じるようになってきたという。

 近年では病院情報システムに対する需要が大きく変化し、IT化された研究機関でもある大学病院で働く医療者の考え方も成熟してきており、研究や医療サービスの向上のためにリアルタイムのデータを活用して仮説を立て、すぐに検証を行う臨床研究の需要が増加していた。こうした要望に応えるためにも、迅速に仮想OSやアプリケーションの作成および更新が必要となっていたが、これまで帝京大学医学部附属病院が使用してきた仮想化基盤は新旧バージョンが混在し、それぞれのバージョンごとに仮想化基盤がサイロ化した状態になっていたために使用しづらいものとなっていたという。

 こうした課題に対し、SANやNASなどの専用ネットワークでサーバ群やストレージ階層を接続する必要がなく、容易に仮想化環境を構築が可能で、既存のクラスタに影響を与えずに一台ずつノードを追加することができるハイパーコンバージドインフラの導入が検討され、Nutanixのソフトウェアを基盤としたデルの「Dell XC630」が採用された。

 帝京大学医療情報システム研究センター教授の澤智博氏は、採用の理由を以下のように説明している。

 「仮説の検証のためにシステムを短期間利用するという需要にはクラウドサービスが適していますが、医療では非常に機密性の高い個人情報を扱う必要があるため、セキュリティの観点からもクラウドサービスなどは適さない面もあります。しかし、Nutanixを基盤とした同アプライアンス製品であれば、クラウドのように扱えるオンプレミスのサービスを簡単に構築できるということで、これまでの仮想化基盤の課題を解決できるのではないかと考え、導入を決めました」

 また、XC630の高い信頼性とサポート力や、1Uから利用可能であるなど従来のNutanix製品と比べて省スペース性の向上も選ばれた大きな理由となっているという。

 なお、今回の導入は電子カルテの大型リプレイスに合わせて計画されたが、XC630の採用が決定した時点で移行までの残り期間が1カ月を切っていた。そのタイトな期間に対しても、XC630は従来の仮想化基盤よりも半分から3分の1に時間を短縮して古いシステムを同製品上に移行することができたとのこと。さらにコスト面でも、それまで専用サーバ5台で運用していたゲートウェイとロードバランサを3台のXC630と2台の「Dell Networking S4048-ON」をNutanixスイッチとして導入して他のシステムと共用で医療することで、構築費用を従来3分の1程度の削減を実現している。

 今回導入されたXC630およびNutanixは、臨床研究におけるビッグデータ解析の基盤としても活用されている。仮説を立てたらすぐに検証することが重要で、従来は様々な部門システムやデータウェアハウスのデータから特定の検証に特化したシステム構築が必要だったのに対し、新たな環境では素早く検証用のシステムを立ち上げて仮説の実証するためのデータを用意することが可能となった。

 帝京大学医学部附属病院では今後、将来的には大規模なシステム改修や導入に合わせ、徐々に以前の仮想化基盤からXC630にシステム移行を行うことを検討している。

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