5億ドルを投じたGoogleのDeepMind買収は、いくつもの方法で成果を上げつつある。今回同社はその技術を使って、データセンターの冷却にかかる電力を40%も削減した。
DeepMindとの協力で実現した冷却電力削減によって、同社のデータセンターのPUE(Power Usage Effectiveness、建物全体が消費する電力に対するIT機器が消費する電力の比)は15%低減した。
DeepMindの研究者は過去数カ月間、Googleのデータセンター運用チームによる、施設のさまざまなセンサから得られたデータを使ってトレーニングされたニューラルネットワークシステムの開発を支援した。DeepMindの共同設立者であるDemis Cassabas氏は、Bloombergに対して、このネットワークは冷却システムから窓までを含む120以上の変数を制御していると述べている。
DeepMindのリサーチエンジニアRich Evans氏と、GoogleのデータセンターエンジニアJim Gao氏の共同発表によれば、「われわれはこれを、気温、電力消費量、ポンプの作動量のデータなど、データセンター内の数千のセンサによって過去に収集された履歴データを利用することによって実現した」という。
Googleは、DeepMindによる節電は、同社が目指す使用電力を100%クリーンエネルギーにするという目標を達成するにあたって、大きなブレークスルーだと考えている。同社は、冷却の問題は極めて難しい課題であると述べており、その理由として、ポンプ、冷却機、冷却塔などの機器や環境が複雑な形で相互作用していることや、(天候などの)常に変化し、予測が困難な条件の変化にシステムが十分な早さで対応するのが難しいことなどを挙げた。さらに、各データセンターの建物の構造が異なっていることも、すべての施設に通用する1つの答えを導き出すことを難しくしているという。
しかし、2つのチームは今回、データセンターがどのように機能しているかを理解するのに役立つ汎用のフレームワークを開発した。本番環境でのテストはまだ1つの施設でしか行われていないが、Googleは今後数カ月の間に、この技術を他のデータセンターでも適用する計画だという。
Googleによる機械学習をPUE低減に利用するテストの結果。
提供:Google
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。