また、これまでの取り組みを振り返り「かつてのオラクルは、縦割りの組織であったが、90年代後半には、成長のために一元的なオペレーションへ移行。サン・マイクロシステムズの買収により、文化の違うハードウェアの企業を統合したが、12カ月で実装を完了し、15億ドル相当の価値を実現した。2004年12月以降、オラクルは100社以上を買収し、これは月1社のペースになる。これらの企業を統合できたのは、グローバルシングルインスタンスを実現していたからだ。現在、取り組んでいるのは、デジタルトランスフォーメーションと新たなビジネスモデルに対応するためのクラウド活用。すべてのシステムをクラウドに移行させるプロジェクトを進めている」と述べた。
クラウド化プロジェクトは、2012年にスタートし、2017年12月に完了させる計画。全世界14万人の社員が、100%クラウド化したITを活用することになる。最近では「Fusion Incentive Compensation」を導入。新年度が始まる来年6月には、すべての会計システムをクラウドに移行させるという。
ユバラ氏は、「クラウド化を通じて学んだことがある。1つ目は、しっかりとした基盤を作り上げることが大切。オラクルは、Fusion Accounting Hubを活用したが、これによって、グローバルシングルインスタンスを、容易にクラウド上に乗せることができた。2つ目は、成功体験を早い段階で積み重ねること。クラウドの運用は、イノベーションは速いため、IT部門にも、利用現場にも不安が広がるが、このパワーを体験すると、さらに移行させたいという機運が高まる。3つ目は、クラウド活用を計画ツールとして取り込むこと。長期間にわたって、システムを作り直すのではなく、有効な機能、新たな機能を、時間を区切って導入することが大切である」とした。
オラクルでは、クラウド化によって、過去2年間に提供した新製品は462と増加。実行した1人当たりITプロジェクトの数が30%向増えた。決算発表までの期間は6日から5日間に短縮したという。また、Marketing Cloudを活用したリード生成率は3倍に、Sales Cloudにより顧客向けの活動が5倍に増加。CPQ Cloudを活用することで、バックオフィスの力を必要とせずに、セルフサービスによる見積も件数の比率は70%の構成比となり、6倍に増えたとしている。
「長く難しいプロジェクトであり、冒険的なものでもあった。これらの経験をみなさんにも提供していきたい」とした。