「Microsoft流」で攻める
ここで話をAmazonに戻し、ソフトウェアに対するMicrosoftのプラットフォーム戦略を取り入れているという点に目を向けてみよう。
O'Grady氏は以下のように記している。
クラウド市場では(中略)Microsoftのプラットフォームに対するアプローチの成功から最も多くを学んだのは、皮肉なことにMicrosoft自身ではなくAmazonだ。両社に共通しているのは(中略)プラットフォーム事業を展開しているという点だ。Amazonのウェブサービス事業は、クラウド市場における新たなMicrosoftだというのは誰もが認めるところだろう。このため、先に述べた「AWS Management Console」は新たな「Visual Studio」だと言える。
O'Grady氏によると、AWSは「顧客に対するエンドツーエンドの完全なエクスペリエンス」の提供に熱心に取り組んでおり、それは「脅威と言ってもよいほどすさまじいもの」であるため、企業は開発者やIT部門からの後押しを受け、驚異的なペースでプライベートなデータセンターからAmazonのパブリッククラウドへとワークロードを移行するようになっているという。
Gartnerのレポート「Magic Quadrant for Cloud Infrastructure as a Service」にも、O'Grady氏の主張を裏付ける内容が記されている。
(AWS)はIaaSおよびPaaSの機能を最も多く有している。また、多くのユーザーや大規模なリソースをきめ細かく統制するための機能も豊富に取りそろえている。さらに同社は、提供するサービスの内容を急速に拡大するとともに、より高レベルなソリューションを提供し続けてもいる。その結果、すべての競合他社よりも何年も先を進んでおり、競合他社を評価するうえでの参照標準となっている。
AWSはどこかの時点で、インフラや製品に対するイノベーションのペースを落とし、より大きな利益を手にすることも可能だったはずだが、同社はそうしなかった。その逆、すなわち短期的な経済上の利益を目指すよりも、プラットフォーム市場で長期的な圧倒的優位性を保つ道を選択したのだ。結果として、GartnerのMagic Quadrantに明確に表れているように、AWSはMicrosoftとGoogle以外の競合他社を完全にねじ伏せ、将来的に大きな利益を得られるポジションにつくことになった。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。