日本でも認知度は高まっている
――日本における認知度の低さは感じるか。
Raska 日本での認知度が低いということは感じていない。ブランドは着実に広がっている。これは、キヤノンITSとの連携によって成し得たものである。また、一度購入したユーザーがESETから離れていないという点では、われわれの製品が評価されていることの証である。
ESETは、グローバルで何百万ドルもかけてキャンペーンをしたり、巨大な看板を立てたりというようなことはしない。ジワジワと根付かせていくという手法を取っている。これによって、少しずつ認知度を高めている。昨年10月に来日した時に比べても、日本での認知度は着実に高まっており、各種調査でも高い評価を得ている。ゆっくりだが着実に認知度は高まっている。
ESET ASIA セールスディレクター Parvinder Walia氏
Walia われわれがセキュリティ業界でやっていることは、消費者がサイバー攻撃や脅威を正確に理解してもらうことである。そこに力を注いでいる。日本では、キヤノンITSがマルウェア情報局として定期的に情報を発信し、最新の脅威に関する情報を提供している。
このときに、最適なセキュリティソリューションがESETであることを思い出してもらえるように情報発信とブランドを紐付けている。先ごろも、アジア太平洋市場での調査レポートをまとめた。こうした活動を通じてESETの認知度を高めている。
Raska ESETは冒険好きな企業ではない。長期的視点を持った企業であり、これから20年後もきっといまと同じ堅実な姿勢を維持しているだろう。大幅に戦略を変えたり、人員を削減したりといったことはない。堅牢な家を建てるように堅実にビジネスをやっていく。
――昨年、Endpoint Protectionが大きく進化した。中堅中小企業向けにも積極的に展開している。その成果はどうなっているか。
Raska 昨年発売したEndpoint Protection v6で法人市場に向けて全力投球できる製品が揃った。すでに、日本では6万人や10万人といった規模を誇る企業との商談も進んでいる。今後は、販売リセラーも増やし、それによって顧客を増やし、法人向けビジネスを強化していく。
さまざまなプラットフォームへの拡大をしているが、そのひとつとしてAWS(Amazon Web Services)で管理コンソールの提供サービスを開始している。これは「ESETクラウド対応オプション」と呼ぶ製品であり、自社でシステムを持つことができない中小企業などに提供していくことになる。クラウド上でのクライアント管理環境を提供し、いつでもどこでもWindows、Mac、Linux、Androidといったクライアントの管理が可能になる。日本に特化した取り組みのひとつであり、キヤノンITSとの提携で実現したものである。
昨年は何社かとパートナーシップを組んで、カスタム化したWindowsを搭載したPOSシステムなどに向けて、われわれのセキュリティソリューションを採用するといったことを開始した。これもESETのアライアンスビジネス展開としてキヤノンITSとともにこれから事業を拡大していきたい。
加えて、要素認証ソリューションの提案では、キヤノンITSが積極的に展開しており、大型商談も進んでいる。日本は、認証ソリューションのニーズが高い市場である。ITの利活用が進んでおり、情報漏洩の問題にも前向きに対応している。日本には大きなポテンシャルがある市場だといえる。
――今後はどこに力を注ぐのか。
Raska ESETはもともと中堅中小企業向け市場を一番得意とする。だが、新たな世代の製品が登場したことで、エンタープライズ向けの製品が充実してきた。武器が揃ってきたともいえる。エンタープライズ向けにも展開することでシェアを高めていく。
日本市場では、2016年度には前年比15%増の成長を目指す。アジア太平洋でも同様の成長を目指している。インドやオーストラリアでは前年比40~50%増の成長を目指しており、途上国では80%~100%増という市場もある。日本市場においては2019年には第3位になりたいと考えているが、達成時期はもっと早いかもしれない。