人材育成の新手法「アクティブラーニング」

効率性の追求が変革の機会を奪う--「定型硬直」に効く“ワカモノ”の条件 - (page 3)

得能絵理子

2016-10-02 07:00

最良の型は必ず通用しなくなる

 効率性とは、ある種の型を極めることである。無駄なく、それさえやれば、しっかりと成果をあげられるモデルを作り上げること。そうしたビジネスモデルがひとたびでき上がれば、社員はせっせとその車輪を回すことになる。


 その仕事がルーティン化することで、型は黄金期を迎える それをやるだけでお金が入ってくる仕組みとなるのである。 結果、従業員は誰もその型を疑わなくなる。 従業員は何年もその車輪を回し続ける。仕事はそれ以上でもそれ以下でもなくなる。

 しかし、 時代の変化とともに、その型はだんだん通用しなくなってくる。 一度ルーティン化したものを変えることは難しい。ただ人が考えなくなるから、だけではない。 過去の資産が変化を拒む要因となりうるからだ。

 バカげた事例を紹介しよう。 恥ずかしながら、弊社で起きた話である。

使わないシステムにお金を支払い続ける

 インターネットが使われるようになってきたころ、弊社ではウェブ上で使えるグループウェアを導入した。それまで社内でしかできなかったディスカッションが、文字という媒体ではあるが、ネットさえつながっていればどこからでもできるようになった。

 出張が多い弊社にとっては大変ありがたい仕組みであった。さまざまなディスカッションがこのソフトウェア上で展開された。お蔭で会社の業務は大幅に効率化した。

 しかし、時代は変わる。 数年たつと、そうしたサービスを超える新しいサービスが次々と生まれてきた。文字どころか音声や動画でさえも交換できるようになってきた。 結果、次第にこのグループウェアを使う意味がなくなってきた。 そして遂に、新しいシステムが社内に導入されることとなった。

 しかし問題はここからだった。

 本来、新しいシステムに引き継ぎがなされれば、旧モデルは終了、で済むところであったが、そうはいかなかった。 われわれが使っていた旧サービス、「よく」できていて、グループウェア上のデータを一括で取り出せないようになっていた。データを取り出したければ、一つ一つ文章をコピーしなければならない。

 実にめんどくさい。 かといって貴重なディスカッションデータを捨て去るわけにはいかない(これらのデータは弊社のコンテンツ制作の宝庫になっていた)。 ただ一つ一つコピーしてデータを移すには時間と労力がかかりすぎる。

 結果、そのサービスを直接的には使っていないのに2年間、料金を支払い続けることとなった。 そんなバカげたことに終止符を与える役割を仰せつかったのは、会社に入ったばかりの私だった。


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