今週の明言

グローバルなオープン教育「Curriki」が日本で本格始動

松岡功

2015-04-10 12:00

 本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉をいくつか取り上げ、その意味や背景などを解説している。

 今回は、米CurrikiのKim Jones 会長兼最高経営責任者(CEO)と、米Check Point Software TechnologiesのSteve McWhirter バイスプレジデントの発言を紹介する。


米Curriki 会長兼CEO Kim Jones氏

「インターネットを活用したオープンな教育の仕組みを日本でも広げたい」
(米Curriki Kim Jones 会長兼CEO)

 世界192カ国において、幼稚園から高校生向けの各種学習教材を、インターネット経由で無償提供している非営利団体(NPO)の米Curriki会長兼CEOを務める Kim Jones氏がこのほど来日し、筆者の取材に応じた。同氏の冒頭の発言は、Currikiの活動を日本でも普及させたいとの意欲を語ったものである。

 Curriki(カリキ)は「Curriculum」と「Wiki」を合わせた造語で、まさしくカリキュラムをウィキペディアのように、いつでもどこでも誰でもオープンに使えるようにしたユニークな教育の仕組みである。インターネットを活用することで、世界各地の教育現場の環境が異なっていても良質の教材を入手でき、誰もが同じように学習できるようにしようというのが目的だ。

 Jones氏によると、現時点でCurrikiのサイトには6万以上の教材が揃っており、教員や生徒、その両親を合わせて約1160万人が利用しているという。教材は、教員などが制作したものを無償でCurrikiに提供。幅広い分野にわたっているが、特に数学、英語、科学技術分野の利用頻度が高いそうだ。

 Currikiは2006年に、米Sun Microsystems(後に米Oracleが買収)の共同創業者であるScott McNealy氏の支援によって設立され、当時Sunの教育向け事業の責任者を務めていたJones氏が代表となって今日まで活動を続けてきている。

 事業モデルとしては、世界各地の教育機関や企業などと協業し、各地の言語や教育現場のニーズに対応しながらCurrikiの教材を生かしていく形だ。日本でも昨年、早稲田大学が中心となって日本支部が設けられ、ローカライズが進められている。また、日本サード・パーティ(JTP)などの企業も支援し、まさに本格始動した格好だ。

 Jones氏が今回来日したのも、こうした日本での活動を一層推進するためだ。4月8日には、新経済連盟が都内ホテルで開催した「新経済サミット2015」でも、「変わる学び方・教え方、変わる教育シーン」と題したセッションに登壇してスピーチを行った。

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