セイコーエプソンは、社内で分散稼働していた100種以上・300サーバ超のシステムを、仮想サーバ、物理サーバ、ハウジングサービスなどからなるハイブリッドクラウド環境へ移行した。クラウドおよびハウジングサービスを提供するNECが9月7日、ユーザー事例として公表した。

エプソンのシステム基盤全体像
エプソンはこれまで、社内で分散稼働していた各システムのホスティングサービスへの移行・集約を進めてきたが、コスト削減には限界があったという。また、新事業への取り組みとして、例えばウエアラブルデバイスとITを組み合わせた新しいサービスの早期開発・リリースを行っていくために、ITリソースの迅速な調達や柔軟な拡張が可能な基盤環境へ変えていきたいというニーズがあったという。
この課題に対しエプソンは今回、NEC神奈川データセンターで提供される「NEC Cloud IaaS」やハウジング環境を組み合わせたハイブリッドクラウドの導入により、さらなるコスト削減と新サービスの早期リリース対応を図った。
具体的は、設計情報統合管理(PLM:Product Lifecycle Management)などの基幹業務はNEC Cloud IaaSの仮想サーバに、販売・人事などの業務系システムは物理サーバに、セキュリティ機器はハウジングサービスに、さらにデスクトップ環境もワークスタイル変革を推進すべく「NEC Cloud DaaS」(DaaS:Desktop-as-a-Service)へと、それぞれ移行。これらは全てNEC神奈川データセンター内でLAN接続され、高速・セキュアなシステム連携が可能となっている。
環境の移行では、NECが移行ノウハウを提供、システムの種類で100以上、サーバ台数で300を超える稼働中のシステムを、当初予定通りの1年半でトラブルなくスムーズに移行でき、エプソンでは移行完了直後から、移行前と同等の運用を違和感なく再開しているとのこと。
新たな環境へ移行した結果、システム運用管理コストを約20%削減できたほか、NEC Cloud IaaSの利用により、ITリソースの調達リードタイムを従来の数か月から1日に短縮し、新サービスの素早い開発・リリースを実現しているという。エプソンは、今回のクラウド導入実績を、将来的に目指すグローバルレベルでの業務オペレーションの全体最適化・標準化に向けたリファレンスとして、活用していく予定。